社会の自然災害への抵抗力を高めるために、企業はどう貢献すべきか
企業が関与することで災害管理に関する実践的な知識が得られ、専門分野や困難な状況下でのリーダーシップなど社員教育のチャンスになる、と見る企業もある。
他の事業活動と同様に、災害管理への民間関与を支えるのは企業ならではの視点だ。人道主義の尊重に加えて各企業の長期的な営利を含めた目的も両立させれば、企業は災害に対する社会的・経済的抵抗力を強める価値ある存在になれるだろう。
■最も効果のある社内リソースを役立てることを考える
寄付金から物資の提供、そしてコアビジネスにおける能力発揮まで、企業は災害管理のためにさまざまなリソースを提供することができる。より大きく意義のある効果を与えるために、企業はコアビジネスにおける能力が、災害に弱い地域や被災地の火急のニーズをどう満たすことができるかを検討すべきだ。
たとえば、運送会社は救援物資の貯蔵や配給を援助できる。エンジニアリングや建設会社はがれきの除去や緊急救援施設の建設を支援できる。そして製薬会社は疫病発生防止に向けワクチンや医療機器を提供できる。
緊急救援だけではなく、企業は災害のリスク削減と災害後の復興に役立つ方法も検討すべきだ。これまで民間セクターではあまり注目されていなかったこうした地域に関与することで得られるチャンスは限りない。
国連国際防災戦略(UNISDR)は「民間セクターが災害のリスク削減活動への官民提携のより良い関与の推進に大きな役割を担う」としている。
世界経済フォーラム(WEF)も同様の見解を表明し、「民間セクターは寄付の実施から、専門知識と能力で災害後の被害を削減し被災地の再建を助け、また予防と準備で災害のリスクを削減するための実践者に移行する」という見方を強調している。
民間セクターによるリスク削減の例としては、危険監視システムの改善、より大きな物理的衝撃に耐えうるような建築基準への対応、貧困層も加入できる災害保険や再保険の提供、そして被災地に安全な飲料水を配給するための先進的なソリューションの開発などがある。今回の震災での例としては、11日金曜日に日本を襲った地震の直後にグーグルが開始した身元確認のための「ピープル・ファインダー」サービスなどが挙げられる。