「活躍する女性」世界共通の敵は既得権おじさん 女性社員を「辞めさせない」だけの施策は不十分

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もう1つは、企業の役員や議員・官僚など「重大な意思決定に関わる層」に女性がまだ少ないことです。東洋経済新報社『役員四季報』によると、日本の上場企業役員に占める女性の割合は、2012年の1.6%から2022年には9.1%まで上昇しました。

しかし、各国主要企業を対象としたOECD(経済協力開発機構)による国際比較(2021年)では、フランスの45.3%、イギリスの37.8%、アメリカの29.7%に対し、日本は12.6%とかなり低い水準にとどまっています。国会議員も同様の傾向です。

日本企業は、女性活躍に向けた諸制度の整備や本格活用が欧米諸国に比べて遅れたため、現時点でのこうした結果はやむをえないのかもしれません。よって、今後5年10年の単位で、結婚や出産・育児がキャリアの直接的なさまたげにならなくなった世代の女性が、順調に部長や役員に昇進し、欧米並みの姿が実現するかどうかが試されます。

ただ、このままいけば、その実現も危ういと思います。まず、これまで整備した諸制度の目的が 「辞めさせない」ことにとどまっているからです。

出産・育児で女性社員が辞めることは少なくなりましたが、年功序列が残る日本企業では、産休・育休をとった社員が、とっていない社員と比べると実質的に昇進などで不利になる状況はまだ残っています。産休・育休取得などが昇進のさまたげにならないような制度運用や工夫がさらに求められます。

「おじさん」文化を変えられるか

筆者が懸念しているのは、昇進に意欲的な女性が継続的に現れるかという問題です。ひとつには、家事や育児の負担が過度に女性に偏る傾向が変わっていないという現実があります。さらに、日本社会に蔓延する「おじさん」文化が女性の昇進意欲を削いでいるという声もあります。

管理職に昇進した女性が、「おじさん」を中心とした意思決定層の旧態依然とした考え方ややり方、特に、その排他的な雰囲気に触れれば触れるほど、嫌気がさしてそれ以上の昇進を望まなくなるという傾向は実際あるようです。「真の女性活躍」社会を目指すのであれば、こうした現実も直視し、改善していく必要があります。

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