1月19日、ニュージーランドの首相だったジャシンダ・アーダーン氏が辞任を表明しました。同氏は、2017年10月に、ニュージーランド政治史上最年少の37歳3カ月で3人目の女性首相として就任しました。
直近は、物価高などを受けて支持率が低迷しましたが、新型コロナ対策や、その際にも注目された国民との対話を重視する政治姿勢は高い評価を受けました。首相在任中に長女を出産しながら首相という要職を務め続け、女性リーダーのあるべき姿を世界に示したことも大きな功績です。
日本でもかなり前から、「女性活躍」が社会課題と位置づけられてきました。1999年に「男女共同参画社会基本法」、2015年に「女性活躍推進法」が成立し、さまざまな取り組みが行われてきました。その結果、多くの企業で「産休・育休制度」などが整備され、結婚、出産、育児での退職者は減ってきました。
日本の労働力人口比率(労働力人口/15歳以上人口)は、1992年の64%から、2012年の59.1%まで低下しましたが、その後、反転し、2019年には62.1%まで回復しました。その間、男性の労働力人口比率がほぼ横ばいなのに対し、女性は48.2%から53.3%に上昇しています。
出産や育児で仕事を辞める女性が減るとともに、新規女性就業者が増えることによって、労働力人口が下支えされている構図です。こうした女性就業者数の増加は、日本経済にとっても好ましいものですが、「真の女性活躍」という観点からは、注意しなければならない点が2つあります。
女性の半数以上は非正規雇用
まず、非正規雇用が多いことです。2021年時点での非正規雇用の割合は、男性21.8%(652万人)に対し、女性は53.6%(1,413万人)です。非正規雇用でも「女性活躍」といえるのではないかとの意見もありますが、考えるべきは、これが目指すべき姿かということです。
非正規雇用は、多様な働き方のひとつであり、自ら選択する人もいますが、20代30代の女性では、正社員として勤務したいが、非正規雇用しかないという人が多いといわれています。
正規雇用への転換の道があればよいですが、意欲があっても、そのような道がない、あっても、ハードルが高く、実質閉ざされているのであれば、女性就業者の地位が硬直化し、望ましい状態とはいえません。雇用する企業側の意識改革も含め、こうした状況の改善は急務です。
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