イギリスで2月1日、教師や公共交通機関の職員などおよそ50万人が待遇改善を求めてストライキを行いました。この報道を受け、筆者もロンドンに住んでいた時に何度か市内の地下鉄やバスのストライキがあったことを思い出しました。
バス通勤でしたので、ストの時には1時間以上も歩いて会社に行かねばならず苦労しましたが、社会全体では「ストライキは労働者の当然の権利」という意見が大勢を占めていたことが強く印象に残っています。今回のストライキについても、イギリスBBCなどはこうした市民の声を強調していました。
日本では捉え方が異なります。ロンドンのストライキについて、日本のメディアは、「労働者の権利」といったことよりも、ロンドンに来ていた日本人観光客の「折角来たのに、大英博物館が閉鎖で残念」といった声をとりあげていました。
こうした報道が象徴するように、デモやストライキは、日本では、よく思われていません。過去の極左や極右による暴力的なデモを見てきたことに加え、もともと「人に迷惑を掛ける行為」に対する嫌悪感が非常に強いことも背景にあると思われます。
デモやストは健全な民主主義の証
デモやストライキは民主主義国において、国民がその声を政治や世の中に伝えるひとつの手段です。フランスでも1月19日、年金支給開始年齢を引き上げる年金改革に反対するデモが行われました。パリでは4万人、フランス全土では100万人超が参加したと報道されています。
フランスやイギリスで大規模にこうした行為が行われることは、民主主義国として健全な証とも言えます。ただし今、世界全体ではこの民主主義が大きな岐路に立たされています。
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