1月13日、岸田文雄首相は欧米歴訪の締めくくりとして、アメリカのワシントンでバイデン大統領と首脳会談を行いました。
アメリカ側の歓迎ぶりがメディアでも強調されていますが、防衛政策でアメリカへの追随姿勢を強める岸田首相が、アメリカをお手本として打ち出した政策がもうひとつあります。「資産所得倍増」政策です。
この政策については、ネットやメディアでも金融関係者を中心とする「賞賛」の声しか見当たりませんので、今回はあえて私たちが注意すべきポイントを見ていきたいと思います。
内閣官房作成の「資産所得倍増に関する基礎資料集」によれば、日本の家計金融資産は現在、約2000兆円あります。国民一人当たりにすると約1600万円です。しかし、実際には60代以上の保有比率が63%を占め、資産分布には大きな偏りがあります。
アメリカの一人当たり金融資産は日本の2.5倍
全体の内訳を見ると、現預金が55%を占め、株式・投信・債券(以下、株式等)が12%、年金・保険が27%です。ちなみに、アメリカの家計金融資産は118兆ドル(約1京3600兆円)。国民一人当たり35万ドル(約4000万円)と日本の2.5倍です。内訳では、株式等が60%超を占め、その構造が日本と大きく異なっています。
こうした中、岸田首相は「資産所得倍増」を打ち出しました。この前提となる問題意識が、前述の「基礎資料集」の冒頭に示されています。「2000年から2021年末までで、米国・英国ではそれぞれ家計金融資産が3.4倍、2.3倍へと伸びているが、日本では1.4倍の増加にとどまっている」との指摘です。
アメリカに比べ、現預金比率の高い日本の家計は「株高」の恩恵を受けづらいので、貯蓄から投資へのシフトを進め、アメリカ並みの「家計金融資産の増加」を図ろうという狙いです。
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