にしおかすみこ「認知症、ダウン症」家族との日々 芸人の仕事は激減、物書きとして家族を支える

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「自分にとって家族とは?」と自問する日々を送るにしおかすみこさん(写真:筆者撮影)
ムチを手にした女王様キャラでブレークしたピン芸人のにしおかすみこさん(48)。家族の現状をリアルにつづった著書『ポンコツ一家』を1月18日に上梓しました。「認知症の母」「ダウン症の姉」「酔っ払いの父」「一発屋の自分」にありったけの愛を込めて「ポンコツ」という言葉で家族を表現しています。家族と向き合う中での葛藤。そして、発信することへの迷い。答えのない時間を過ごす今の胸の内を吐露しました。

コロナ禍で仕事量が激減して、コロナ禍前を10とすると2くらいまで減ってしまいました。それまで家賃18万円のところに住んでいたんですけど、コロナ禍前から収入には見合っていない感覚もあったので引っ越すことにしたんです。家賃10万円の物件を見つけて段取りをつけました。

そんな中、ふと久々に実家に戻ってみようと思って千葉に向かったんです。お正月に戻るくらいの感じで、何年も戻ってないというほどではなかったのですが驚きました。

母の認知症発覚で実家住まいに

家中砂だらけだし、ゴミは放置してあるし、明らかに母の様子も違う。明らかに何かがおかしい。調べてみると、母の認知症が分かったんです。これは引っ越して一人で暮らしている場合ではない。そう思って10万円の物件ではなく、実家に住むことにしました。それが2020年の6月頃でした。

ウチの家族は母が認知症。1歳上の姉はダウン症。父は酔っ払い。そして、私は一発屋。そんな構成です(笑)。

家のことをやるのは基本的に私です。姉は小学生ができることができるくらいだと思います。ただ、ダウン症のこともあってか、早く歳を取ってきている感じでもあるので、母親と並んでいると、おばあちゃんが2人いるような感じでもあります。

そんな家族のことを2021年の秋から雑誌の連載で書くことになり、今回書籍にしてもらいました。連載の頃から心配ではあったんですけど、私は自分の家族なので愛情をこめて“ポンコツ”という言葉を使っている。でも、認知症、ダウン症を扱っているので読む方にとってはいろいろな感情を持つ方もいらっしゃるのかなと。

それが本という形になると、より一層、いろいろなことをお感じになる人がいらっしゃるのでは。そう思っていたんですけど、ネットのコメントや周りの方の声を見てみると、本当に温かいお言葉が並んでいて、ホッとしているというのが今の気持ちです。

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