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にしおかすみこ「認知症、ダウン症」家族との日々 芸人の仕事は激減、物書きとして家族を支える

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書くことは好きですし、今回、本も出していただいたので自分の書いたものを知ってもらいたい。その思いはあるので、こういった取材も本当にありがたいことなんです。でも、それと同時に、こうやって自分のことを話すのに苦手意識もあるんです。

ウチは介護と言っても徘徊があるとか、寝たきりというわけではない。「介護しています」と語れるほど何かをしているわけではないのかなと思いつつ、こういう仕事をしているから取材の機会をいただければ語っている。本当に大変なことをされている方からしたら、私なんかが……という気持ちが出てくるのも正直なところで、そこの感覚があるので、こうやってお話をさせてもらっていても、どこかにおこがましさがあるんです。

そして、こういう取材で聞いていただくことも多いのが「自分にとって、家族とは」ということでもあるんです。これはずっと自分の中の宿題だと思っているんですけど、考えれば考えるほど分からなくなっているのが今の状況でもあります。

家族は安心するけど、残念なもの

“絆”といっても、そんなきれいごとだけじゃないし、“空気”みたいにさりげないものでもないし。ネットで検索したら日々変わるということで“万華鏡”という言葉もあったんですけど、万華鏡は楽しみで覗くものであって、そんな良いものでもないし……とか。どれもしっくりこなくて、いっこうに答えが出てきません。

あまりにも答えが出ないので、先日、母に聞いてみたんです。「ママにとって、家族とは?」って。なんとも歯切れの悪い答えでもあったんですけど(笑)、まとめると“切りたくても切れないもの。安心するけど、残念なもの”みたいだなと。

今、母は認知症になって、父とも毎日のようにケンカしています。それでも父を“切れないもの”だと思っているんだなと。それを聞いて、何とも言えない気持ちにもなりました。

『ポンコツ一家』(講談社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

本当に何なんでしょうね。「家族とは」。この答えは本当に分からない。でも、分からないことが答えなんですかね。それも分かりませんけど(笑)。

いろいろなことを経て、今はこんなことにたどり着いた。こういう教訓を得た。そんなことをお話しするのがこういうインタビューの一つ形なのかもしれませんけど、今のところ、何も見いだせず、今日をひとまず成立させる。それが今の自分です。

そんな中での思いを文字にして少しでも心がホッとしたり、クスッとしてくださったりする方がいらっしゃるなら書いていきたい。それも今の自分が思っていることなので、なんとか少しずつでも書いていきたいと思っています。

ま、あんまりにも少しずつだと、今でも担当者さんに原稿を待ってもらうことの連続なので(笑)、そこは迷惑をかけないよう、しっかり、テキパキと書いていくように頑張りたいと思います。

■にしおかすみこ
1974年11月18日生まれ。千葉県出身。本名・西岡純子。青山学院大学卒業。ワタナベエンターテインメント所属。94年にデビュー。コンビ活動などを経て、ピン芸人として手にムチを持った女王様キャラクターでブレークする。マラソンや水泳などスポーツでも力を発揮し、フルマラソンのベストタイムは2019年に記録した3時間5分3秒。21年9月から「FRaU(フラウ)」で家族への思いをつづった連載を開始。連載をまとめ、加筆した著書「ポンコツ一家」を今年1月に上梓した。

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