食べログ「ワンコインランチ」の思わぬ死角 飲食店側にメリットはあるのか
そもそもこのようなワンコインのランチサービスは、昨年ブームとなった「ランチパスポート」がきっかけだ。ランチパスポートとはランチが割引になる書籍で、地域ごとに発行されている。2011年4月に高知で出版されたのを皮切りに、2014年に東京の各エリア版が発行された。仕組みはいたってシンプルで、ランチパスポートを対象のお店に持参して提示するだけで、通常700円以上のランチ(レギュラーメニュー)が500円(ワンコイン)で食べられるのだ。ユーザーからすると非常にありがたいサービスである事は間違いない。
ただし、とあえて考えてみたい。食べログのワンコインランチサービスにせよ、ランチパスポートにせよ、店側のメリットがあまりなさそうなのだ。
食べログのワンコインランチサービスの掲載ルールは、通常価格(税抜き)650円以上のランチを500円(税抜き)で提供することが条件の一つ。限定ランチのメニューは通常メニューとして掲載され、その通常価格にて実際に提供されているメニューでなければならない。
限定ランチ用のメニューを新たに提供する場合も必ず通常メニューとして提供すること。1日5食以上で週2日以上、12〜13時を含む連続2時間以上の利用可能時間を設けることなどが細かく制限されている。
飲食店側からすると無料で掲載できるので、集客につながる。だが、この限定ランチは実は相当利益を圧迫する。たとえば650円のランチを500円で売れば粗利は150円減る。売り上げ自体が2割も減る計算だ。そもそも原価は同じなので、利益率の悪化という観点で見るともっと悪い。「食べログから何らかのキックバックはない」。実際に登録されている店の関係者は打ち明ける。
では飲食店側のメリットは何なのか。唯一あるのは、これをきっかけに初めて来店したもらった客が、リピーターとなることだ。店の存在を知ってもらい、味を確かめてもらうことでランチだけでなくディナータイムの集客につながる、という理屈である。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら