「レトルトで完全再現」名古屋名物のあんかけスパ ソースと同封されているのに「伸びない麺」の謎
トーカンは名古屋市熱田区に本社があり、30年前からヨコイのソースの販売を手がけている食品卸会社である。一方、テーブルストックは山梨県甲州市で山梨の名物、あわび煮貝を製造販売する信玄食品の100%子会社。昨年2月に麺とソースが一体型、すなわちオールインワンの「麺QUICK」を発売した。トーカンはこの商品に用いられた技術に着目したのだった。トーカンのCVS営業部の鈴木俊輔さんは、
「これからの時代はただ商品を売るだけではなく、取引先同士をつなげて新しい商品を開発する必要があると思っていました。そんなときにテーブルストック様の『麺QUICK』を知り、真っ先にヨコイのあんかけスパを思い浮かべました。実は私、大のあんかけスパ好きで“ヨコイ派”なんです(笑)」
余談だが、あんかけスパは店ごとに辛さや酸味が微妙に異なり、辛さと酸味のバランスがいいのが「ヨコイ」。辛さ控えめでビギナー向けなのが「チャオ」。辛さが強めなのが「そーれ」と「からめ亭」と、大きく分けて4つに分類される。
それぞれに熱烈なファンがいて、自分が推す店を誰かに伝える際、自らを◯◯派と呼び、それが一致すると喜ぶのである。ヨコイはトーカンの取引先ではあったが、「元祖あんかけスパ」が誕生したのは、鈴木さんが“ヨコイ派”だったことが大きい。
伸びない麺特許製法とは
あんかけスパの話ばかりしていたら、どうしても食べてみたくなった。テーブルストックの特許技術について話を聞く前に「元祖あんかけスパ」をレンチンして試食させてもらうことに。袋は開封せず、袋に記された蒸気口を上にしてレンジの中央に寝かせる。あとは500wで3分間加熱するだけ。湯せんの場合も袋を開封せず、袋ごと熱湯に入れて約5分間温める。いずれも調理も簡単このうえない。
では、いざ実食。うん、麺のもっちりとした食感は店で食べるのとまったく同じだ。ソースの味付けも店の味と遜色はない。具材は定番の赤ウインナーとピーマン、マッシュルーム。ソースの色に染まっているのが気になったが、それ以外は冷凍のあんかけスパをしのぐほど完成度が高いと思った。
ソースと麺が同封されているのに麺が伸びないのはなぜだろうか。トーカンの鈴木さんとともに商品を企画した同社CVS営業部の上村亮次さんによると、
「まず、麺を短時間でゆでて、中心部に水分が浸透していない半生状態にします。さらにソースの中にでんぷん分解物を添加して麺に浸透しようとする水分を抑えます。加熱後に理想的な弾力を持った麺になるように水分量を調整しています。それがテーブルストック様が開発した『伸びない麺特許製法』です。保存料や添加物で麺を保っているわけではありません」
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