「レトルトで完全再現」名古屋名物のあんかけスパ ソースと同封されているのに「伸びない麺」の謎

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早い話が加熱することで麺がベストな状態にゆで上がるようにしているのである。また、ソースが麺に染み込んでいかないのは、ソースに添加したでんぷん分解物が水分を取り込んでいるかららしい。このでんぷん分解物が製法のカギとなるのだろう。

「でんぷん分解物そのものは無味無臭のため、味に影響することはありません。ややとろみのあるものと相性がよいということもあって、あんかけスパを再現することができたのです。名古屋風の濃厚なカレーうどんや台湾まぜそばもこの技術を応用できると思います」と、鈴木さんが付け加えた。

トッピングとともに楽しみたい

あんかけスパとカレーうどん、台湾まぜそばと名古屋名物のラインナップがそろったら、ギフトとして需要が見込めると思う。レトルト食品ゆえに常温で保存できるうえ、賞味期限が1年と長いのも喜ばれそうだ。

今回はできあがったあんかけスパを撮影するためにあえて皿に盛り付けたが、袋は自立するため、そのまま食すこともできる。器が要らないので、キャンプ飯としても活用できる。

「コンビニで扱われるようになれば、レジ横で売られている唐揚げなどの揚げ物をそのまま袋の中に入れて楽しめると思うんです。実際、コンビニ弁当のコーナーで売られているあんかけスパに唐揚げをトッピングして食べていた方を何人も見ました」(横井さん)

「元祖あんかけスパ」の内容量は、日清食品「ヨコイの元祖あんかけスパゲッティ」と同じ220グラム(筆者撮影)

あんかけスパがすばらしいのは、具材を選ばないこと。肉や魚介、野菜、卵など何にでも合うのだ。実際、トッピングは玉ネギやピーマンなどの野菜をはじめ、赤ウインナーやミートボールなどの肉系や海老フライやカニクリームコロッケなどの魚介系、オムレツやピカタ(豚肉を溶き卵をつけて焼いたもの)などの卵系など多岐にわたる。

しかも、赤ウインナーとベーコン、ハム、マッシュルームが入った「ミラネーズ」や玉ネギとピーマン、マッシュルームが入った「カントリー」などトッピングごとに独特なメニュー名が付けられている。ちなみにあんかけスパの代表ともいうべき「ミラカン」は、前出の「ミラネーズ」と「カントリー」を合体させたものである。

あんかけスパの元祖である『ヨコイ』がオープンして今年で60年。店のみならず、家庭でも気軽に本格的な味が楽しめるのは、あんかけスパ好きとしてはうれしいことこのうえない。

永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー

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ながや まさき / Masaki Nagaya

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。

地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに記事と写真を提供。

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