コロナ以前と以後で大きく変わったのは、オフィスのあり方だ。在宅から出勤に切り替えている企業は多いが、単に社員が同じスペースに集まって働くだけでは、産業革命のころと大して変わらない。これからのオフィスに求められるのは、「イノベーションが起きる場」であること。
こう言うと、「お金も時間もかかる」と思われそうだが、決してそんなことはない。全世界で話題沸騰の新刊『リデザイン・ワーク 新しい働き方』著者のリンダ・グラットン氏が、イノベーションを起こすためにすぐにでもできるオフィス改革を伝授する。
社員1人当たりのスペースは12平米
オフィスで働いたことがある人なら、初めてオフィスに足を踏み入れたときのことをありありと覚えているだろう。私の場合は、1980年にその経験をした。
心理学の大学院を修了してすぐ、ブリティッシュ・エアウェイズ(英国航空)に入社した。役職は、選択方法担当者だった。上司である上級選択方法担当者とそのさらに上司は、窓からの見晴らしがいい個室を与えられていた。一方、私は狭苦しい部屋で蛍光灯の光の下で仕事をしていた。
1980年代のブリティッシュ・エアウェイズは、ほかの大半の大企業と同様、ピラミッド型組織の性格が強い会社だった。社内にいくつもの職階が存在し、与えられるオフィスの質も職階によって違った。
コンサルティング業界に移ったのは1985年。新しい会社では、窓からの見晴らしがいい個室を与えられた。しかし、前の会社に比べると、狭いスペースに大勢が押し込められていて、個人用スペースのサイズは小さかった。
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