世界から注目!「海藻スイーツ」の大いなる可能性 伊勢丹「サロン・デュ・ショコラ2023」に初出店

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

その「Re-seaweed」の第1弾としてサロン・デュ・ショコラ2023で発表されたのが「海のワイン」。海藻を発酵させて作ったノンアルコール飲料だ。

フレッシュで優しい味わいの発酵ドリンク「海のワイン」。サロン・デュ・ショコラ2023では1杯600円で提供。赤バージョンも開発中(写真:シーベジタブル)

「海藻」と「発酵」という、どちらも日本が世界に誇る食文化でありながら、これまで出会うことがなかった不思議な組み合わせだ。

石坂シェフは海藻に糖分を加えて発酵させ、フルーティーで優しい味わいのドリンクを生み出した。今回テスト的に提供販売されたが、近々ボトリングされ、シーベジタブルのショッピングサイトから購入できるようになる。

一方3つのスイーツたちは、サロン・デュ・ショコラ2023だけの限定提供だったが、今後もポップアップ形式のレストランなどをどんどん企画していく中で、再度登場予定というから楽しみだ。

日本の海が危ない

世界で海藻が注目を浴びる一方で、海藻文化の大元である日本では海藻は斜陽産業なのだという。前述したように、日本近海には1500種類もの食用可能な海藻が存在するのにもかかわらず、その食べ方は昔のまま進歩していない。新しい時代の食文化についていけていないから、食習慣が西洋化すればするほど日本料理を食べる機会は減る、だから海藻の消費量は減る一方だということだ。平成6年から平成28年までの間に、日本人1人当たりの海藻消費量は40%も減っているという(農林水産省「食料需給表」より)。

海藻がなくなる「磯焼け」という現象も深刻だ。地球温暖化に伴う海水温度の上昇により、海藻を食料とする海の生物たち、例えばウニなどが一年中活性化して海藻を食べ尽くしてしまうのが大きな原因だといわれる。特に海藻の芽が生える冬の期間に海水温が下がりきらないと、小さい=全体量が少ないから簡単に食べ尽くされてしまい、枯渇してしまうのだ。

日本の森で、芽生えたばかりの新芽を鹿が食べ尽くしてしまって森が荒れると問題になっているが、それに近い話かもしれない。海底で磯焼けが起こり、海藻がまったく採れなくなり、廃業に追い込まれた漁業関係者も多いという。海から海藻が姿を消せば、そこに住み着くたくさんの海洋生物たちも生きてはいられず、海の生態系がどんどん壊れていく。昨今、頻繁に耳にする魚介類不漁のニュースも、無関係ではないだろう。

次ページ瀬戸内海では、もずくを育てるプロジェクトがスタート
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事