世界から注目!「海藻スイーツ」の大いなる可能性 伊勢丹「サロン・デュ・ショコラ2023」に初出店

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

シドニー育ちの石坂秀威シェフは、オーストラリアのアンダー30の料理コンテストで優勝した後、2018年に東京にオープンした「INUA」でスーシェフ(シェフ=料理長を補佐する厨房内で2番手の地位)として料理開発を担当。わずか1年でミシュラン二つ星を獲得しながら、コロナの影響で閉店の憂き目に遭う。だがその不運が、シーベジタブルとの出会いという大きな転機を生んだ。

「世界ではこの数年で一気に海藻に注目が集まってきています。目立つのは代替エネルギー源などとしての活用ですが、食材としての利用も始まってきています。でも多くの人たちは環境のためだったり、エシカルな理由だったり、身体によいという観点だったり。おいしく食べようという動きはほとんどないんです。それは本当においしい海藻を食べたことがない、知らないからだと思うのです。でも日本には実はおいしい海藻がたくさんある。それを日本の人、世界の人に伝えたい、そう気づかせてくれたのが日本育ちではない石坂だったって、おもしろいでしょ」と友廣氏。

高い調理技術を駆使して作られたスイーツ

サロン・デュ・ショコラ2023で販売した「赤い海藻とカカオパルプのミルクムース」2000円。トサカノリのシート、ふんわりと甘酸っぱいフイリグサ(海藻)とヨーグルトのソルベや苺の求肥、そしてカカオパルプムースとのコンビネーションにうっとり(著者撮影)

濃いピンク色をしたトサカノリは、生で食べるとプリプリとした歯応えがとてもおいしいのだが、加熱によって溶けるという性質を持つので使い方は限られてくるという。

石坂シェフはそのトサカノリの美しさ、歯応えはそのままに、甘く、酸っぱく加工し、まるでデコラティブな皿の模様のように飾った。

カカオの実の中でカカオ豆を包んでいるふわふわした果肉部分=カカオパルプなどの希少食材と高い調理技術を駆使して作られたスイーツたち。さすがミシュランスターシェフの仕事ぶりに興奮させられた。

テストキッチンでスタッフたちと試作を続ける石坂秀威シェフ(写真:シーベジタブル)

そんな石坂シェフは目下、東京中目黒にあるシーベジタブルのテストキッチンで、日本各地から集まるたくさんの海藻を相手に、煮たり焼いたり乾燥させたり発酵させたりを繰り返し、新しい海藻の可能性を追求している。

海藻をベースにした醤油など調味料的なものはすでに何百種類も生まれた。そんな石坂シェフとシーベジタブルが満を持して発表するのが「Re-seaweed」。

新たな海藻の食文化を育むために世界に向けて発信する、そんな思いを込めたブランドだ。

次ページ「海藻」と「発酵」を組み合わせた「海のワイン」
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事