男性誌で「不妊治療」マンガを連載した意外な背景 主人公は胚培養士、作者・おかざきさんに聞いた

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――胚培養士のお仕事描写を見ると、相当な取材量ですよね。

それを生業にしている人たちもいるし、当事者の人に失礼がないようにするには、取材がせめての礼儀。「これ以上できないぐらい取材した」というところで描かないと、気持ち的に描けないんです。

前職のCMづくりは、ひとつの商品に半年ぐらい時間をかけて取材します。工場見学に行ったり、店頭に行ったり。そういう意味では取材慣れしているかもしれない。前職で叩き込まれました。

今回、いろんなクリニックを取材し、培養室に丸1日いさせてもらったこともありましたが、それぞれまったく違っていました。機械も違うし、培養の仕方も違う。いいとこ取りをして描くのは難しい。これは1つに絞るしかないと思い、リプロダクションクリニック東京(東京都港区)に取材や医療監修のご協力をいただいて、同クリニックのHow Toで描いています。

「ニッチな職業を描きましたね」と言われて

――胚培養士とは、取材を通してどのような位置付けだと感じましたか?

一般にいわれているのが、医者が頭脳で、胚培養室が心臓部。お話を聞いた何人かの培養士さんは「職人ですよ」とおっしゃっていたので、例えば、宮大工のようなつもりで描いています。この職人さんにかかったら、きちんとやってくださる。この職人さんでダメと言われたら、もうダメなんだろうなという感じ。腕の職業ですよね。

みんなに「ニッチな職業を描きましたね」と言われるのですが、案外描くところはたくさんあるんです。取材先で1つ話を聞くたびに、毎回びっくりしています。そのびっくりしたところは、描くべきところなんですよね。

©『胚培養士ミズイロ』おかざき真里/小学館
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