運動が脳を鍛え、うつ退け、集中力上げるカラクリ 『運動脳』著者アンデシュ・ハンセン氏が明かす

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――どんな運動をどれくらいすればいいですか?

速く走ったり、長く走ったりする必要はありません。短期間、心拍数が少し上がる運動をするだけでBDNFは産生されます。しかも、運動を繰り返すほどBDNFの生成量が増えていきます。1日30~45分間のランニングを週に3回ほど、これを数週間から数カ月も続ければBDNFによるプラスの効果は出てきます。心拍数を上げることは必要ですが、スピードは関係ありません。無理をせず走ることが大事です。

――運動には自転車やヨガ、フィットネス、テニスなどさまざまなものがあります。どんな運動でもよいのでしょうか?

重要なのは運動の「強度」

重要なのは種類ではなく強度にあると思います。「強度」というのは、「心拍数がどれくらい上がるか」です。だから、テニスでもサッカーでもクロスカントリーでも、強度が同じであれば脳への影響は同じ。どの運動が優れているということではありません。

――ウォーキングはどうですか?

うつ病の予防に関しては、60分のウォーキングは15分のランニングと同じ効果があるようです。これはうつ病に対する予防効果についてであって、他の認知機能についても同じかわかりません。ただ、これは少なくとも何らかの示唆を与えてくれるのではないでしょうか。

――日本では、国立長寿医療研究センターが、歩きながら脳トレをする「コグニサイズ(コグニション=認知と、エクササイズ=運動を組み合わせた新しいエクササイズ)」があり、「運動する+頭を使う」というのがいいといわれています。

認知症など年をとってからかかる病気から脳を守るためには、運動が非常に重要で、認知トレーニングも重要であることは明らかです。若い人でも体を動かしながらオーディオブックやポッドキャストなどを聴いたりして何かの情報を得るのは、座って聴くよりも学習効果は高くなります。

試験勉強であれば勉強する前に早歩きをして、昼休みにまた早歩きするのはとてもいいことです。学習中や学習前に体を動かすと、より細かいところまで記憶できるようになります。

――朝昼晩、どのタイミングで運動をすればいいですか?

短期的な効果は運動後1時間くらい続きます。集中力が増すとか、クリエイティブになるとか、そういった効果です。それを考えると、朝に運動したほうが、仕事や学校での勉強にいい影響を及ぼします。一方でこれが最も重要な効果なのですが、長期的な効果についていえば、いつ運動しても同じです。

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