「源氏物語」平安時代にオタク生んだ面白さの秘密 「階級」に注目して読むと見えてくる新しい魅力

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なんとも、文学少女があこがれそうなストーリーではないだろうか。私はこの点を考えると、「1000年経ってもオタクが考えることって変わらないんだな」と思ってしまった。

さらに孝標女のあこがれのヒロインチョイスを見るたび、「やっぱり『源氏物語』が人気になったゆえんは、ヒロインに中流階級の女が多いところなのかもしれない……」とも思えてくる。

そう、たくさんのヒロインが登場する『源氏物語』だが、「階級」に注目して読むと、実はかなり面白い。

さまざまな身分の女性が楽しめるストーリー

たしかに紫式部も受領階級(夕顔と同じ中流階級)の身分だった。高い身分の人々の恋愛だけでなく、読者に近しい身分の人々も積極的に登場させることで、『更級日記』のようにさまざまな身分の女性が楽しめるストーリーになった。

階級に注目して読む『源氏物語』は、現代的な感覚だけではわからない新しい魅力が見えてくるので、とてもおすすめの読み方なのだ。

三宅 香帆 文芸評論家

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みやけ かほ / Kaho Miyake

1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。2016年「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫」がハイパーバズを起こし、2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位となる。その卓越した選書センスと書評によって、本好きのSNSの間で大反響を呼んだ。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)、『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)、『女の子の謎を解く』(笠間書院)『それを読むたび思い出す』(青土社)など著書多数)。

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