――厚生労働省の集計によると、年明け以来、多い日には20万人を超える新規感染者が出ています。感染者数は過去最多を記録した第7波の26万人は超えていないものの、1日の死亡者数は500人を上回る日もあります。1月に入ってからの死者数は5967人(16日まで)で、現時点での新型コロナによる死者数6万2963人の約1割弱になります。
高橋:死亡者の大半は後期高齢者です。また、高血圧や糖尿病などの基礎疾患のある人が感染し、それらの基礎疾患が悪化して亡くなっている例もあります。一見、死亡者の数が大きいように見えますが、この国では1年間に約137万人(厚労省2020年人口動態統計月報年計)が亡くなっています。1日当たり約4000人弱です。そのうちのコロナ死亡者のピークが500人を超えたのをどうとらえるのかということです。
ちなみに、2018年、2019年に猛威を振るったインフルエンザでも、ピーク時に1日数百人レベルの人が亡くなっていました。それほど多くの方が亡くなっているにもかかわらず、当時はほとんどニュースになっていません。インフルエンザと比べるとコロナの感染者数、死亡者数の報道は異常だったと思います。
高齢者施設でクラスターが起きるたびにニュースになっていたので、スタッフが必要以上に疲弊し、辞めています。要介護状態になっても施設がスタッフ不足で受け入れてもらえない状態になりつつあるなど、新型コロナへの過剰反応の副作用が社会の多くの場所でみられるようになってきたと感じます。
――過去に何度か「波」がありました。第8波をどのようにとらえていますか。
今の状況をとらえるのに参考になるのが、まんぼう、つまり「まん延防止等重点措置(※)」です。2回目が2022年1月9日から3月21日までで、第6波の頃になります。当時は1日当たりの感染者数が劇的に増加し、約20万人にも上り、ピーク時には1日400人ほどが亡くなっていました。
(※)同措置で都道府県知事は飲食店などの店舗や施設に従業員の検査受診の勧奨や発熱などがある人の入場を禁止するーなどといった措置を講じることができた。
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