「風邪化するコロナ」死者500人超をどう捉えるか 「日本人がマスクを外す日」はそう遠くない?

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――コロナ政策に関して、高橋さんは、「虎1匹」と対峙する対策から「どらねこ20匹」に対峙する政策に転換する必要があると話しています。その意味はなんでしょうか。

高橋:コロナウイルスが国内で初めて確認されたのが2020年1月15日。中国の武漢で見つかったのと同じタイプでした。その後、英国で見つかったアルファ株、インドで見つかったデルタ株が日本国内でも広がり、重症化する患者が相次いで医療体制が逼迫しました。アルファ株は高齢者施設で感染が広がり、たくさんの死亡者を出しました。アルファ株は高齢者にとって激烈でした。

さらに、その後に登場したデルタ株はアルファ株より脅威で、40代から50代の感染者の死亡が相次ぎました。菅前首相が実施したワクチン政策が功を奏して高齢者を守ることができたわけですが、逆に接種が間に合わなかった高齢者以外の人たちが感染して亡くなるという状況に陥ったのです。

そうやって振り返ると、アルファ株やデルタ株が「虎」だとすると、2021年10月に南アフリカで確認されたオミクロン株は「どらねこ」のようなものです。私はオミクロン株の感染力がデルタ株の20倍程度と推計したので、「どらねこ20匹」と表現しました。虎に出会うのも、どらねこ20匹に囲まれるのも怖いですが、「虎」1匹に対してと、「どらねこ」20匹に対する対策は、当然変えるべきです。

――一方で、あまり報じられていませんが、厚労省のデータによると都道府県の病床使用率は、高いところで70%を超えていて、神奈川では80.2%です。医療機関の負担は相当なものだということも聞こえてきます。

高橋:本当に大変です。医療機関がいまさらされている現状を踏まえると、第8波を迎える前にコロナの感染症法上の分類を2類相当から5類に変更しておけば、厳しさはかなり緩和されていたと思われます。2類相当であるがために感染した医療従事者が仕事などを休まざるを得なくなって、現場が回らなくなっています。これが医療現場で、今も厳しい状況が続いている理由のひとつです。

――今週閣僚会議があり、新型コロナを5類に移行した場合、屋内マスク不要にするようです。日本人がマスクを外す日は来るのでしょうか。

高橋:コロナ前、例えば花粉症を予防するためにマスクをしていた人はいましたし、インフルエンザや風邪になりたくないとして、予防のためにマスクを着用していた人も一定数いました。一方、マスクを毎日、朝から晩まで着用していることが不快という人もいます。

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