――現在の第8波でも死亡者数が500人を超えているので、同じレベルの深刻度ですが、今はまん延防止等重点措置は講じられていません。
高橋:普通に考えたら、当時と同じくらいの人がコロナに感染して、それ以上の人が亡くなっているのだから、本来は第8波の今のタイミングでも、まん延防止等重点措置を講じるべきと考えるのが普通でしょう。ところがそうなっていません。
ひとつ言えるのは、第8波が起こっている今、社会の反応や受け止め方は随分とこれまでと違ってきているということです。医療機関や高齢者施設では大変な状況が続いていますが、それ以外の世界はまったく違ってきます。外に出る人の数はすごく増えているし、人流も活発に。人々は普通に生活ができるようになっています。
コロナ禍でさまざまなことに抑制がかかったことで、経済活動が止まって倒産や飲食店の閉鎖が増え、出生率が低迷し、自殺を選ぶ人たちも増えた。私自身、第6波当時のまん延防止等重点措置により守られたものより、失ったもののほうがはるかに大きかったと思っています。
オミクロン株は感染力こそ強いものの、病原性はデルタ株やアルファ株ほどではありません。それは、WHO(世界保健機関)の報告でも明らかです。オミクロン株は人類に脅威を与えるような病原性はないと見越して脱コロナに舵を切った欧米と足並みを揃えて、日本も脱コロナに舵を切ればよかったと考えています。
もし第6波のときに「脱コロナ」していたら…
――もし日本が第6波のときに脱コロナに舵を切っていたら、どうなっていたと思いますか?
高橋:日本の抗体陽性率は欧米に比べて低いという前提を踏まえると、感染者数は間違いなく、欧米より増えたと思われますが、死亡者数はそれほど増えなかったのではないかと予想されます。なぜなら感染するのは若年層が多いからです。
1日当たり20万人だった感染者が30万人から40万人程度に増えたとしても、死亡者数は100人増えて200人から300人になるかどうか。500人を超えることはなかったと思いますが、現状第8波で死亡者が500人を超えても人流が活発になってきている現状から考えると、第6波後に日本も脱コロナに舵を切っていても社会的には大きな混乱が起きなかったことは、間違いないと思われます。
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