コロナワクチン接種で放置される「副反応疑い死」 救済制度が機能しないため国民は泣き寝入り
新型コロナクチンの接種が始まって、まもなく2年になる。ワクチンで多くの命が救われた一方で、「泣き寝入り」を強いられる人たちもいる。重い副反応と疑われる病症で亡くなった人と、その遺族だ。
健康を保つための予防接種で、まさか命を落とそうとは誰も思ってもいない。しかし、頻度は低いとはいえ、重篤な副反応は必ず生じる。免疫の仕組みは極めて多様・複雑で、未知の領域が広がっているからだ。その「まさか」が起きたとき、接種と死亡の因果関係の証明という壁が立ちふさがり、遺族への補償は顧みられず、泣き寝入りを余儀なくされる。
このままでは「安全・安心」をうたうワクチンへの信頼が揺らぐ。反ワクチン陰謀論がかき立てられる理由もそこにある。
被害者の救済が進まない理由
なぜ、被害者の救済が進まないのか。制度の「落とし穴」を探ってみよう。
厚生労働省は、ワクチンの副反応による健康被害に対し、2つのしくみで臨んでいる。前面に押し出しているのは、接種状況をモニタリングする「副反応疑い報告制度」だ。これは医療現場で患者を診た医師や、製薬会社が副反応の疑いがある症例を国に知らせる仕組みだ。報告は「PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)」に送られ、接種と死亡・後遺症などの因果関係の評価が行われる。個々の評価は、さらに厚労省の副反応検討部会に送られ、ワクチン接種の可否が判断される。
この制度による医療機関から厚労省への「重篤な副反応(死亡・障害・入院など)」報告は、すでに8000件を超えた。このうち死亡例は1921件(2022年12月16日時点)と増え続けている。一家の大黒柱を失い、途方に暮れる遺族は少なくない。
問題は、PMDAが下す因果関係の評価である。厚労省が公開している報告データを筆者が調べたところ、1921件の死亡例のうち、少なくとも220件以上は、患者を診療した医師や、死後に病理解剖をした医師らが、「関係あり」と報告している。
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