医師解説、肝臓から「脂肪が落ちる」朝食のとり方 朝食に“カット野菜のスープ"を勧めるワケ

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
拡大
縮小

Kさんが最初に行った計測では、身長156.6㎝で82.6㎏。体脂肪率は45.9%で、肝機能の数値も血糖値も異常値でした。病状を改善するために減量は必須です。「スマート外来」の指導では、1カ月の減量目標は2㎏まで。それを3カ月間続けるようにお伝えしています。脂肪肝の人の場合、体重の7%を減量できれば、肝細胞から脂肪が減少することが実証されています。

Kさんの食事改善のファーストステップは、それまで食べる習慣がなかった“朝食を食べる”ことからでした。糖尿病のKさんにとって、急激な血糖値上昇は何よりも避けるべき事象。朝食抜きの空腹状態で昼食を迎えると食べすぎやすい上、昼食後の血糖値が跳ね上がるのです。だから、朝食は必ず食べるのが鉄則です。

とはいえ、メニュー内容も重要です。菓子パンに砂糖入りのコーヒーでモーニングというのはNG。これでは、血糖値の急上昇を避けられません。そこで欠かせないのが「食物繊維」なのです。野菜やきのこ、海藻などに豊富に含まれる食物繊維は、血糖値の上昇を緩やかにしてくれる救世主となる成分です。

早速Kさんが取り組んだのは、“朝食に野菜スープを食べる”ことでした。前日の夕食時に野菜を煮込んだスープを作っておき、朝食にそれを食べるように。1日の食事で緑、赤、黄、黒、茶の5色を入れるとバランスがとれると管理栄養士から指導されたこともあり、スープの具にはパプリカをよく使ったそうです。朝食の習慣がなかったので野菜スープのみからのスタートでしたが、食事を制限するのではなく、それまで食べていなかった朝食をとり、食事回数を増やすように指導されたのは意外だったそうで、前向きに取り組めたポイントだったと言っていました。

朝食の「野菜スープ」で9kg減。脂肪肝炎も消失

実は野菜スープによって血糖値を抑える効果は、昼食後にも及びます。食物繊維が多い朝食をとることで、朝食(ファーストミール)だけでなく昼食(セカンドミール)の血糖値上昇を抑えることが知られており、これを「セカンドミール効果」と呼んでいます。

その他に、食事で注意したことは、糖質量を控えるためにご飯は70gまでに。また、筋肉量を維持するために手のひらサイズの肉や魚介などのタンパク質をとるように。それまで飲んでいた甘い炭酸飲料は、砂糖なし・甘味料なしの炭酸水に変更してもらいました。

次ページダイエットコーラなら問題ないと思っていたKさん
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT