ダイエットコーラならゼロカロリーで問題ないとKさんは思っていたようですが、甘味料入りの飲料を飲むと腸内環境によくなかったり、継続して甘いものを欲しやすくなったりするので避けるべきです。とはいえ、食べていたもの全部がダメなのではなく、食べていいもの、変更できるものがわかってきたことで、ストレスなく甘いものから離れられたと診察時に話してくれました。
Kさんは食事改善を始めて3カ月後に体重は5.4㎏減、6カ月後には体重72.3㎏と、見事9.3㎏減に成功しました。体脂肪率も42.0%に落ち、3.9%減。肝機能を示すAST、ALT、γ-GTPも軒並み基準値内になり、脂肪肝炎も消失。心配された血糖値も問題ない程度まで改善しました。
“朝の野菜スープ”で肝臓から脂肪が落ちる理由
Kさんの食事改善の最大のポイントが、“食物繊維”です。「スマート外来」では、1日に20g以上の食物繊維を摂取することを推奨しています。野菜量にすると350gほどで、両手にこんもりになる程度。実際に食物繊維量を算出して食べることは難しいので、普段の2倍の量を食べると考えて実践するといいでしょう。また、野菜は生のままではなく、加熱して食べることをお勧めしています。その代表メニューである朝食の「野菜スープ」が、とりわけ脂肪肝改善に有効な理由を説明しましょう。
肝臓に脂肪が増えるのは、食後血糖値の急上昇が一因です。血中のブドウ糖はエネルギーとして使われるほか、一部がグリコーゲンに合成されます。しかし、血糖値が急上昇する事態では、血中のブドウ糖が過剰になっていてグリコーゲンの合成だけでは間に合わず、「中性脂肪」という形で肝臓にも蓄えられてしまいます。この蓄積で肝臓に脂肪が増えていき「脂肪肝」になります。ですから、食後の血糖値上昇を抑えれば、肝臓脂肪を減らせるわけです。
食物繊維は米などの穀類にも豊富ですが、血糖値の上昇を抑えるためには精製糖質のご飯、パン、麺などは控えるべき。だからこそ、野菜やきのこ、海藻がたっぷり入った「野菜スープ」が最適なのです。特に水溶性食物繊維には、血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。野菜は加熱するとカサが減って量をとりやすいですし、汁に溶け出す水溶性食物繊維も余さず摂取できます。
寝起きは体温が上がりきらず、体は冷えた状態です。冷えた体は血行が悪く、必要な栄養が全身の細胞にうまく供給されず代謝も下がっています。だから、朝起きたら胃腸を温めて、全身の血行をよくすることが“やせ体質”へ導きます。温かい野菜スープなら体をポカポカにしてくれて、代謝がアップ。脂肪の燃焼効率が上がった状態で、1日をスタートできます。なお、野菜スープにおろししょうがを加えると、温め効果がさらにアップします。
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