【ゲーム依存】使用時間減「治療キャンプ」の中身 「乳幼児に動画を見せる」問題を専門家が言及

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ゲーム依存の治療法や、今期待されている「治療キャンプ」について解説します(写真:zon/PIXTA)
オンラインゲームやアプリの使用が過剰になり、生活に支障や生じて自らの意思でやめるのが難しい状態「ゲーム障害(ゲーム依存)」は、2019年に世界保健機関(WHO)が「国際疾病分類(ICD)」として認定した。
こうしたゲームやネットの依存ではどんな治療が行われるのか。また、乳幼児にスマホで動画を見せることは問題ないのかなどについて、日本で初めてネット依存外来を立ち上げた、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターの樋口進医師に聞いた。

関連記事:【ゲーム依存】なる子とならない子の決定的な差

アルコールでも薬物でもギャンブルでも、依存を自分から認めて医療機関を受診するケースはほとんどない。多くは家族など周りの人に促されて受診にいたる。当事者は「わかってはいるが、やめられない」「やめられるものなら、やめたい」という状況に陥っているが、これはゲーム依存でも同じだという。

「実際、当院のネット依存外来でもなぜ受診したのか聞くと、『自分に問題があるから』と答えるお子さんが非常に多い。口では『自分は問題ない』『減らそうと思えばいつで減らせる』と言っていても、心の奥では『このままだと自分の将来がまずい』と悩んでいる子がほとんどです」と樋口医師。

前回の記事でも紹介したが、依存とは「やめたいのにやめられない」状態をいう。ゲームでいえば、没頭していても、それによって日常生活に問題が起こっていなければ過剰使用の範囲だ。一方で、学校に行けない、食事がとれない、注意をすると暴言・暴力で対抗するといった問題が起きていれば、依存と考えられる。

そして、そうした人たちが相談する先の1つが、医療機関が開設するネット依存外来だ。久里浜医療センターのホームページには、「インターネット依存・ゲーム障害治療施設リスト」の施設が掲載されている。気になるようなら、一度見てみるといいだろう。

医療機関ではどんな治療をするか

樋口医師によると、コロナ禍で、オンライン授業やリモートワークなど、世界的にネット使用が過剰になったが、ネット依存が増えたかどうかはまだわかっていない。むしろコロナとは関係なく、小児科医の間では子どものネット依存が問題となっているという。

では、医療機関ではどういった治療が行われるのか。

樋口医師は「依存症の治療は決められたものがなく、医療機関によってやり方が異なる」としたうえで、同院の場合を例に挙げる。

まず初診では、依存の程度やどんな状況が問題となっているかなどについて話を聞く。その上で主治医は治療の方向性を考え、ゲーム・ネットの使い方などを相談していく。

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