これが「スペシャルティコーヒー」の世界だ ウニールが優秀なバリスタを育成できる理由

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ウニール京都御幸町店の店内

東京のコーヒー店でたまたまスペシャルティコーヒーを飲み、そのおいしさに開眼した山本尚さん。勤務していた会社を辞めて、京都・長岡京に小さなスペシャルティコーヒー専門店を開いたのは2006年のことだった。尚さんが生豆をローストし、知子さんがケーキを焼いて、10席ほどの小さなカフェで提供する。ウニールの強みは高品質のコーヒーをリーズナブルに提供できること。優良なコーヒー生産者と直接取引を行う共同購入グループ「C-COOP」に加盟しているからだ。

だが最初のうち、訪れる人々はコーヒーの味よりも、もっぱら喫茶店としての快適さを求めていた。新聞は置いてないのかと聞かれることもたびたびあったし、「1日の売り上げがコーヒー1杯分、420円だけ。しかもそれは自分のオカン(笑)」という日もあった。焙煎したコーヒー豆は時間とともに鮮度が落ちていくので、古くなった豆を泣く泣く廃棄しなければならないこともあった。

それでもいつの間にかコーヒー豆の購入者が増え、卸の販売量も増加したためにカフェ営業の余裕がなくなり、販売専門の店舗をオープンすることに。とりたてて宣伝はしなかったが、コーヒーの味そのものを楽しんでくれる顧客を地道に増やしてきたことに加えて、社会的にもスペシャルティコーヒーが認知されはじめ、京都にはまだ数少ない専門店として雑誌に取り上げられる機会が増えたことが幸いした。

コーヒーへの想いを語る尚さん

「品質のいいコーヒーを多くの人に知っていただきたいという思いが強くなった。カフェよりも上流の工程、生産の現場へと興味がシフトしていき、これからのスペシャルティコーヒーを考えたとき、ウニールは『ひろめていく』という役割を果たしたいと思ったんです」。

スペシャルティコーヒーとは何か

尚さんがそれほど精魂を傾けるスペシャルティコーヒーとは、具体的にはどんなコーヒーを意味するのかご存じだろうか。「一般的なコーヒーとどう違うのか、重要なポイントは3つあります」と尚さんに教えてもらった。

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