「ダブル資格」目指すことはリスキリングに有効か 「弁護士・税理士」など複数の資格取得がブーム
企業関係者は、近年のこうした変化を熟知しています。そのため、資格を持っているというだけでは、顧客開拓できません。専門分野を変更・追加するという場合はともかく、現在の専門分野での競争力を高めるという点で、2つ目以降の資格は「ないよりはマシ」という程度でしかないのです。
次に、会社勤務者が自己啓発のために資格を取得する場合について、メリット・デメリットを検討しましょう。
学習の習慣化と人脈形成がメリット
士業以外の会社勤務者にとって資格取得の最大のメリットは、学習が習慣化することです。いま、多くの社会人が自分なりに自己啓発に取り組んでいますが、高い確率で挫折します。自分なりの学習は、目標を定めにくく、何をどう学んだら良いかわかりにくいからです。
その点、資格に挑戦すると、合格という目標が明確ですし、学習内容や学習方法がある程度決まっています。そのため、道に迷わず、着実に歩み続けることができます。「継続は力なり」という学習の本質からして、受験勉強はそれ自体が最強の学習法なのです。
もう一つ、あまり注目されていませんが、人脈形成も大きなメリットです。たいていの資格には、弁護士会・税理士会といった資格保有者の団体があります。団体が主催するイベントや研究会に参加することで、人脈を形成することができます。
一般的な異業種交流会と違って、資格保有者の集まりには、次のような利点があります。①継続的に開催され、組織的に運営される、②試験を突破したハイレベルで問題意識が似たメンバーが参加している。
社外人脈を広げたいという会社勤務者にとって、資格は最強のパスポートになります。なお、資格取得によって勤務先での人事評価が上がることを期待する向きがあろうかと思いますが、これは微妙です。ある大手素材メーカーの人事部長の次のコメントの通り、あまり期待しない方が良いでしょう。
「技術士や危険物取扱者といった業務に直結する資格は評価しますが、業務と無関係な資格を取りまくる“資格マニア”は、まったく評価しません。当社にも“資格マニア”がいますが、仕事で実績を上げ、出世したという例は過去ありません」
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