物価目標を取り下げよ
2022年12月20日に日本銀行が長期金利の上限を引き上げた。これは金融緩和の出口に向かう政策ではないとされているが、すでに、金利をはじめとするさまざまな指標が大きく動き始めた。これは、日銀が2013年4月に開始した大規模金融緩和(通称「異次元金融緩和」)の出口に向かっての動きの始まりと捉えるべきものだ。では、いかなる方向を目指すべきか?
大規模金融緩和は、2013年1月22日に安倍晋三首相(当時)が白川方明日銀総裁(当時)と結んだ「政府・日銀の政策協定(アコード)」をもとにしている。
ここで、「目標を消費者物価の前年比上昇率で2%」とし、「できるだけ早期に実現することを目指す」と明記された。
しかし、これは、もともと実現不可能な目標であり、仮に実現したとしても、経済活性化にはつながらない無意味な目標であった。
これが採用されたのは、当時支配的であったリフレ派の主張による。
日銀はこれに抵抗したが、日銀法改正という脅しをちらつかされて、組織防衛のために認めざるを得なかった(白川方明『中央銀行』2018年、東洋経済新報社による)。
実現不可能であり、経済活性化につながらない目標であることが、その後、明らかになった。
異次元金融緩和では、この目標を2年以内に達成するとした。しかし、実現できなかった。年平均で消費者物価上昇率が1%を超えたのは2014年だけだが、これは消費税率引き上げの影響であり、それを除けば、2021年まで、どの年も1%未満だった。
もともと、金融緩和で物価が上がるはずはなかったからだ。
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