経常収支の不均衡が拡大すればドル安に 米国頼みの経済はいつまでも続かない

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資産残高と毎年の収支の間には、「前年末の残高に、その年の収支を加えて、資産価格の変動を調整すると、年末の資産残高になる」という関係がある。

前年末資産残高+収支+資産価格の変動=年末資産残高

これは、個人や企業の資産でも、政府の債務でも、国全体の対外的な関係でも、必ず成り立つ会計的な関係だ。毎年巨額の経常収支赤字を続けていと、アメリカの対外純資産は減少(債務が増加)していくことになる。

各国がドル資産を購入して不均衡を維持した

2014年第3四半期末時点では、アメリカの対外資産は24兆6146億ドルで、債務は30兆7725億ドル、差し引き6兆1579億ドルの債務超過だ。アメリカの経済規模は世界一なのだから、債務や純債務の金額が大きいことだけで問題視する必要はない。しかし、名目GDP(国内総生産)比で35.0%もの債務超過となっているのだから、経済規模を考慮してもかなりの規模だ。アメリカの住宅や工場設備などの固定資産の価値は、GDPの3倍強の規模だが、これとの比較でも債務超過額はかなり大きい。

アメリカは第二次世界大戦終了直後には、欧州各国に対して巨額の債権を持つ対外純資産国だった。しかし第二次石油危機後にはインフレ防止のための高金利政策がドル高を引き起こして経常収支の赤字が拡大し、1980年代半ばには対外純債務国となっており、GDPに対する対外純債務の比率は上昇傾向を辿っている。

1985年のプラザ合意によってドル高は修正され、一時は経常収支の赤字は解消した。しかし、1990年代に入ってアメリカ経済の復活が喧伝される一方で、経済の好調から輸入の伸びが大きかったため、アメリカの国際収支の赤字は拡大していった。

2008年にリーマン・ショックが発生すると、アメリカの消費や投資が大きく落ち込んだことから、輸入が大幅に減少し、経常収支の赤字は大きく縮小した。アメリカ経済が危機を脱したことで赤字の縮小は止まり、名目GDP比で2~3%程度で推移している。この水準はアメリカの経常収支赤字が大きな問題とされた1980年代半ばと同じ位だが、あまり問題視されることがないのは不思議だ。

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