経常収支の不均衡が拡大すればドル安に 米国頼みの経済はいつまでも続かない

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1990年代末頃から世界経済では、アメリカが大きな経常収支の赤字を出して、それ以外の国々が黒字になるというグローバル・インバランス(不均衡)と呼ばれる現象が発生した。2000年代に入るとこの問題はさらに大きくなった。

これには、中国が輸出主導の経済発展を続けたことで大幅な経常収支黒字を出すようになったこと、1997年に起こったアジア通貨危機の教訓から、アジア諸国を中心にそれまでに比べて大きな対外資産を蓄積しようとしたこと、原油などの資源価格の上昇から産油国などの経常収支が大幅な黒字になったこと、などいくつかの要因が重なっている。

米国の実力以上の支出に、各国が依存してきた

貿易収支や経常収支には、世界中の国の収支を合計すると必ずゼロになるという関係がある。それぞれの国の経常収支は赤字のことも黒字のこともあるが、世界中の国の経常収支を合計すると原理的に必ずゼロになる。どこかの国が経常収支の黒字を出すためには、必ず、どこか他の国が同額の赤字になってしまう。

中国やアジア諸国、産油国などが大幅な経常収支の黒字を出すためには、その反対側で同額の経常収支赤字を出す国が必要になるのであり、その役割を果たしてきたのがアメリカだった。

世界各国はアメリカの財政赤字や家計の貯蓄不足を指摘し、アメリカが実力以上の支出をしていることを批判してきた。しかし、もしアメリカが経常収支の赤字を出さないように支出を切り詰めていたとすれば、世界経済全体は深刻な需要不足に陥ったはずだ。現実に、リーマン・ショックが起きてアメリカの消費と住宅投資が大きく落ち込むと、アメリカの輸入が急速に減少して経常収支の赤字は縮小したが、同時に世界経済は著しい需要不足に陥ってしまった。

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