眼科医が警鐘、スマホ依存者「眼球変形」のリスク 多くの小学生が眼軸長伸びる「軸性近視」を発症
スマホによる目の不調・病気が増えている
近年、スマートフォンなどの小型デジタルデバイスの急速な普及による「目の不調」や「目の病気」が増えていることが指摘されています。そのひとつの例が、若い人、特に10代の間で「急性スマホ内斜視」の患者さんが目立つようになってきたことです。
内斜視とは、左右の眼のどちらか、もしくは両方が内側を向いている状態のこと。私たちの眼は、近くを見るとき、内側を向く「寄り眼」状態になります。このとき、長時間にわたり近くのものを見続けて、寄り眼状態が固定化すると、固定化した視線の先にしかピントが合わなくなります。すると、それ以外の場所を見たときに、モノが二重にダブって見えるようになるわけです。
ちなみに急性内斜視は、もともと近視の人が、長時間、近距離でものを見続けることで、発症しやすい傾向があります。こうした内斜視の中でも、スマホを長時間見続けることで起こる急性症状のことを、私は特別に「急性スマホ内斜視」と呼んでいます。
先日も、私が診療している眼科に、16歳の男子高校生がやってきました。お母さんに付き添われてきた彼の訴えは、「黒板が見えない」「教科書が見えない」というものでした。検査の結果、裸眼視力は右眼が0.03、左眼は0.04。すでに近視がかなり進んだ状態です。
彼はメガネをかけて片眼ずつで見れば、問題なく見えると言います。しかし両眼で見た瞬間に、見えなくなります。遠くの景色が見えない、授業中に黒板を見ようとしても見えない。教科書やマンガはもちろん、愛用しているスマホも見えない……。
彼に普段の生活を聞いたところ、毎日、かなり長い時間スマホを見ていることがわかりました。そのため、眼球が内側に寄った状態で固定化してしまい、片眼だけなら対象物にピントを合わせられても、両眼を使ったときにピントが合わなくなっていたのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら