眼科医が警鐘、スマホ依存者「眼球変形」のリスク 多くの小学生が眼軸長伸びる「軸性近視」を発症

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そもそも、近業時間が増えると、なぜ近視になるのでしょうか。そして、なぜ近視が失明につながる可能性があるのでしょうか。

まず、私たちが近業──30センチ未満の“超近距離”でものを見るときは、水晶体の厚さを変える「毛様体筋」という筋肉がグッと緊張して、水晶体が分厚くなります。こうすることで、近くにピントが合うのです。

近業を続けると眼球の形が変化する

しかし、長時間スマホを見続けるなどして近業を続けると、毛様体筋が緊張して凝り固まり、一時的に、水晶体が膨らんだままになります。こうなると、近くにピントが合ったままになりますから、遠くにピントが合いません。つまり、一時的に遠くがボンヤリとしか見えない「近視」になるわけです。ただし、毛様体筋の緊張が解ければ、また遠くにピントを合わせられるようになります。

このように、毛様体筋の緊張から、一時的に近視になることを「仮性近視」と言います。「仮性」ですから、この段階で適切な投薬治療をしたり、長時間近くを見続ける生活習慣を改善したりすれば、視力を回復することが可能です。

問題は、仮性近視の状態を経て、さらに近業を続けると、「眼軸長(かんじくちょう)」がどんどん伸びていくということです。眼軸長とは、「角膜」から「網膜(黄斑部)」までの長さのことです。

『スマホ失明』P.65より

日本人の成人の場合、眼軸長の平均は24ミリ前後です。これより数分の1ミリでも長くなると、網膜より手前でピントが合ってしまい、遠くがボンヤリとしか見えない「近視」になります。このように、眼軸長が伸びてしまった結果として起こる近視を「軸性近視」と言います。

軸性近視になると、近視を発症する以前の状態にはなりません。なぜなら、一度伸びた眼軸長は、現在の医療では、二度と元に戻せないからです。

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