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ソニー「音の神様」はメディア対応も神だった 金井ルームでの「完全オーダーメード取材対応」

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  • 遠藤 眞代 Doen代表取締役、広報コンサルタント
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取材対応者の頂点ともいえる「独立タイプ」は、創業者などに多いタイプです。あふれ出るパッションから言葉を紡ぎ出します。頭の中は伝えたい気持ちでいっぱい。発言が予測不可能なこともよくあり、広報がヤキモキしてしまいます。独立タイプはそもそも希少性が高いので、出会ったことのない広報の方もいるでしょう。

独立タイプをさらに細かく分けると、「感性派」と「緻密派」が存在します。金井さんは、緻密でありながら感性も高いレベルで持ち合わせている方でした。私は取材対応者の「究極の姿」が金井さんだったと思います。その理由を、これから説明しましょう。

話す内容は「完全オーダーメード」

金井さんの取材はいつも「金井ルーム」と呼ばれる専用の視聴室で行われました。広報である私の仕事は、たまの機会に新聞や雑誌、インターネットメディアなどとの取材をアテンドすることでした。これまで20回ほど同席させていただいたのではないでしょうか。

取材時間は3時間が当たり前、4時間に及ぶこともしばしばでしたが、毎回楽しかった記憶しかありません。これほど長時間の取材だったにもかかわらず、眠くなることもなく、なぜ楽しかったのでしょうか。

「かないまる」こと金井隆さん(写真:ステレオサウンド)

通常の取材の場合、製品やサービスを説明する資料やストーリーは、パッケージ化されています。インタビュアーによって多少、用意する資料の増減はありますが、基本的には大体同じです。ところが、金井さんはまったく違いました。

AVアンプという商品は広報的には超難関の商品です。その機器自体から音が出るわけでも、ディスクを再生するわけでもない。まったくオーディオに興味がない人にとっては、大きくて重くて高価な箱です。金井さんは商品を説明する際、インタビュアーの知識、興味の度合い、媒体特性を推し量りながら、その場で話す内容を完全オーダーメードでつくり上げていくスタイルでした。説明で使用する言葉の難易度、プレゼン資料、説明の順番、そしてデモンストレーション用ディスクの何から何までが完全にオーダーメード。振り返れば、私がアテンドするメディアは、金井さんとは初対面かつAV機器の専門家ではない方ばかりでしたから、好みもわからず、準備が大変だったのではないかと思います。

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【あらゆる対象を想定し、膨大な量の資料を準備していた】

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