ソニー「音の神様」はメディア対応も神だった 金井ルームでの「完全オーダーメード取材対応」

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オーディオエンジニアとしての功績については、私に語る資格などはありません。そこで今回は、広報の立場から金井さんを見続けて「神」だと感じた取材対応について紹介させていただきます。

取材対応者は大きく3タイプ

まず、企業側の取材対応者について知っていただくため、次のような3つのタイプに分けてみました。

(1)忠実タイプ:広報がつくった型(Q&Aやストーリー)を忠実にこなしていく
(2)話し上手タイプ:自身でつくった型やストーリーに沿って取材対応する
(3)独立タイプ:インタビュアーによって話す内容や言葉遣いをカスタマイズする

ちなみに、金井さんは3つ目の「独立タイプ」でした。一概に言えませんが、(1)から(3)にいくほど取材対応の習熟度が高く、インタビュアーが面白いと感じる話を提供できることが多くなります。では、それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。

「忠実タイプ」は初めてメディアの取材を受ける人やあまり慣れていない人。取材慣れしていたとしても、ここ一番のミスが許されない取材の場合も、このタイプになることがあります。私が言うのも気が引けますが、広報がつくり込んだストーリーに忠実すぎると、味気ない取材になりがちです。取材対応者は場数を踏みながら、広報からのフィードバックなどを基に、メディアに対する基本スタイルを習得し、ステップアップしていくのが定石です。

「話し上手タイプ」は、広報担当者として最もやりやすいタイプでしょう。広報がつくった型をカスタマイズして、自分の言葉(スタイル)で話せる人です。毎回話すことにブレがないので、安定した情報の露出が図れます。さらにこのタイプは、たとえ話やエピソードを数多く持ち合わせています。インタビュアーのスキルが高いと、ついつい調子が出てしゃべりすぎてしまうこともあるので、完全に広報が手放しになるわけではありません。

広報が手助けできるのはここまでです。さらに上の高みを目指し、次のステップである「独立タイプ」の取材対応者になってもらうには、広報のサポートだけでは困難です。

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