購入者分析で見えた「コンパクトSUV」本当の素質 比較車や購入理由からメーカーの課題も露わに
一方、ヤリスクロスとロッキーは女性比率がやや高く、4割程度となっている。今回、比較する車種の中でこの2車はボディサイズがコンパクトであるため、運転操作や取り回しの観点で女性に好まれているのだろう。
次に、最後まで悩み比較したクルマ、「最終比較検討車」を見ていく。このデータからは購入時の比較検討状況が確認できる。いくつか特徴的な結果となっているので、順に見ていこう。
1つめは、購入者の多くが「他のSUVと比較」を行っている点である。表中で「★」マークをつけたものがSUVであるが、その多さは一目瞭然である。
ヤリスクロス購入者であれば、同じトヨタの「ライズ」や「C-HR」を、カローラクロス購入者であれば、同じくトヨタの「RAV4」、ヤリスクロス、そしてホンダのヴェゼルが続く。当初から、SUVというボディタイプに絞って車種選択を行ったことがわかる。
同じメーカーのクルマも比較検討している
2つめは、「メーカー内での比較の多さ」である。購入した車種と同じメーカーの車種が1位になっていないのは、ヴェゼルとロッキーのみである。
ホンダの場合、ホンダ内でSUVを比較しようとすると、ヴェゼルと「CR-V」の2車種となるが、サイズや価格が大きく違うことから、比較対象とはなりにくい。2023年4月に発売が予定されている「ZR-V」は、ヴェゼルとCR-Vの間を埋めるサイズや価格を持つモデルだけに、どれだけ存在感を示せるかは注目だ。
ダイハツは、ラインナップが軽自動車メインであるがゆえに、ロッキーと直接的に比較できる車種がないことが理由であろう。
3つめは、マツダ、スバル、日産購入者の同一メーカー内比較の多さである。CX-30購入者では、比較車種の3位までをマツダ車が独占、XVでは2位までがスバル車、キックスでも2位までが日産車となっている。
多種多様なSUVをラインナップするトヨタが市場を大きくリードしている現状に対し、各メーカーは個性を出すことで、ある程度はユーザーの囲い込みに成功していると言える。一方で、他メーカーからの乗り換え誘致は、大きな課題だ。
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