大手デベロッパーは需要拡大を見据えてシニア向けマンションの開発を強化している。駅遠、駅近、戦略は各社各様だが、収益源を増やして事業リスクを分散する目論見だ。
駅から「車」で10分以上――。消費者にあまり歓迎されない駅遠物件を、シニア向け住宅として開発する大手デベロッパーが現れた。
三井不動産グループの三井不動産レジデンシャルは2017年4月に、シニアレジデンス事業部を新設。2023年3月に開業する「パークウェルステイト千里中央」(大阪府豊中市、総戸数548戸)など、地域の医療機関と提携したシニア向けマンションの開発を進めている。
パークウェルステイト千里中央は今注目されている、CCRC(Continuing Care Retirement Community)の機能を持つ。CCRCとは高齢者が健康なうちに入居し、医療や介護サービスを受けながら、生涯にわたり住み続けられる生活共同体のことを指す。
平均寿命が延びる中、趣味や娯楽を楽しみつつ将来的な介護まで受けられる「終の住処」の需要は増しており、CCRCはその受け皿として期待されている。
駅から遠くても共用部充実で需要取り込む
パークウェルステイト千里中央は大浴場や美容室、運動するためのフィットネスルーム、食事を提供するダイニングルームなどがあり、共用部が充実している。麻雀ルームやカラオケルームなどの娯楽スペースも用意されている。
着目したいのは、同マンションの立地だ。パークウェルステイト千里中央は北大阪急行電鉄「千里中央」駅から、車で約10分ほどかかる。三井不動産レジデンシャルは専用のシャトルバスを運行させ、駅や近隣の医療機関とシニア向けマンションをつなぐ計画だ。
パークウェルステイト千里中央は延べ床面積4.5万㎡と、施設が大きいことにも特徴がある。物件の延べ床面積のうち4割程度は、共用部やスタッフルームだ。三井不動産レジデンシャルの井橋朋子主管は、「共用部を充実させて、しっかりとしたサービスを提供するには大型物件でないと難しい」と話す。
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