区分所有法の見直しが進めば、建て替えに踏み切るマンションが増えるだろう。これまでマンションの建て替えが実施されたのは首都圏、関西圏で7割以上。建て替えによる戸数増加率をランキングにした。
要件が厳格なため、老朽化していても建て替えに踏み切ることがあまり多くなかったマンション。だが、その要件緩和に向けての動きが本格化している。
今後は、老朽化したマンションが急増していく見込みだ。国土交通省によると、築40年超のマンションは2021年末時点で、全体の約17%にあたる116万戸。10年後には、さらに130万戸増える見通し。
1970年代の高度成長期に、数多くのマンションが建設され、古い耐震基準のものもある。建物の「老い」だけでなく、マンション住民の高齢化も進み、適切な維持管理が行われていないマンションも出てきている。
「所有者不明のマンションや、相続などにより所有者が管理に関心を失うマンションも増えている。このままではマンションの管理不全を招くとともに、老朽化した建物の再生が困難になっていく」と、法務省の大谷太・大臣官房参事官は語る。
そこで政府は、区分所有法の見直しに着手。2022年5月に、「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」を閣僚会議で決定。今2022年度中に論点を整理する方向で審議していたが、9月に前倒しで取りまとめた。
一連の議論の中では、建て替え決議の多数決要件の緩和が検討されている。建て替えの場合、現状では住民の5分の4の賛同を得る必要があるが、4分の3にする案を軸に考察されている。
大がかりなリノベーション(内装、外装、配管などの大規模改修)についても、現状では所有者全員の同意が必要だが、これでは「大規模改修が事実上困難」(法務省)とし、建て替えと同じく4分の3にする案などが検討されている。
政府は10月28日に、第1回の検討部会を開催。今後も部会を月に1回の頻度で開催して、早ければ2023年内にも区分所有法を改正する姿勢だ。
建て替え物件は東京と大阪で7割以上
法整備が進めば、今後は建て替えに踏み切るマンションが増える可能性が高い。では、この先、どのような特徴のあるマンションが、建て替えを実施していくのだろうか。それを探るために、これまで建て替えを行った物件には、どのような傾向、特徴があったのかを見ていこう。
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