駅近の大型マンション用地は不足気味。仕入れ競争の激化を受けて、分譲の開発が難しくなる中、マンションデベロッパーは比較的広くない用地でも開発できる賃貸マンション事業の拡大を図る。
リモートワークの浸透などにより、消費者の生活様式も変化している。こういった環境の変化を背景に、活況を呈しているのが賃貸マンション市場だ。実需だけでなく、国内外の機関投資家の売買需要も高い。ここにビジネスチャンスがあると見て、賃貸マンションの開発による事業拡大を図るデベロッパーが後を絶たない。
三菱地所レジデンスはSOHO(Small Office Home Office、住居兼事業所)の「ザ・パークハビオSOHO代々木公園」(東京都渋谷区、総戸数81戸)を開発した。共用部には会議室や個室ブースがあり、リモートワークなどに活用できる。月々の賃料は、およそ10万~22万円だ。
ザ・パークハビオSOHO代々木公園は、小田急線「参宮橋駅」から徒歩4分という都心の好立地にある。土地が広いため分譲マンションを開発することもできたが、三菱地所レジデンスの担当者は「この土地で開発をすると、販売価格は1億円を超えてくるだろう。分譲マンションを開発しても線路に隣接しているため、(その価格では)消費者に敬遠される可能性が高い」と話す。
分譲では難しい立地も賃貸なら開発可能
他方、分譲では難しい周辺環境の土地でも、賃貸マンションならば工夫次第で開発できるという。
東京メトロ東西線「門前仲町」駅から徒歩10分の「パークアクシス門前仲町テラス」(東京都江東区、総戸数189戸)。大型の土地でありながら、定期借地権という特性から賃貸マンションになった。
開発したのは三井不動産レジデンシャルで、共用部にはリモートワーク用の個室や会議室だけでなく、フィットネスルームや無人コンビニもあり機能が充実している。
三井不動産レジデンシャルの神谷正樹事業グループ室長は、「パークアクシス門前仲町テラスは想定以上の反響だ。2022年6月末にリーシング(入居募集)を開始したが、同12月時点で100戸程度の入居申し込みが来ている」と語る。同社はパークアクシス門前仲町テラスのメインターゲットを20~30代のミレニアル世代と設定。「ニーズに合った物件を開発できた」(神谷氏)という。
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