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マンション価格上昇に「消費者はついてこられる」 大手デベロッパーの開発者が最新事情を激白

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東京建物の神保氏
神保健(じんぼ・たけし)/東京建物・取締役常務執行役員、住宅事業副本部長。1965年2月生まれ。1988年、東京建物入社。2015年に住宅情報開発部長、マンションの用地仕入れや開発を担当。執行役員などを経て、2021年1月から現職(撮影:今井康一)  

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土地代や建築費が高騰する中、新築マンションの価格は1990年代のバブル期の最高値を上回る。そうした中、大手デベロッパーの一角である東京建物は、市街地再開発事業にからむ住宅開発や、マンションの建て替えを積極化する方針だ。
今後、マンション価格はどこまで高騰するのか、また消費者は価格高騰についてこられるのか。同社の神保健取締役に聞いた。


――足元のマンション販売に陰りはないのでしょうか。

販売は相変わらず好調だ。2022年9月末から10月初頭にかけて、消費者からの問い合わせ件数が前年同期比で1割ほど減った。具体的な要因もわからず、「ついにマーケットに限界が来たか」と注視していたのだが、10月下旬には持ち直した。

販売中の物件についても、目標よりも早く契約がとれている。例えば「Brillia Tower(ブリリアタワー) 聖蹟桜ヶ丘 BLOOMING RESIDENCE」(東京都多摩市、2022年9月竣工)は、2022年に入ってから販売が加速している。最寄り駅は都心から、ほどほどの距離にある。物件はその駅に近く、自然豊かで周辺環境もいい。

「ブリリアシティふじみ野」(埼玉県ふじみ野市、A棟は2022年11月竣工)も2021年秋ごろから売れ行きがよく、現時点で販売の進捗率が想定よりも10~15%程度高い。販売当初はそれほどの売れ行きではなかったが、東武東上線沿線で供給される他社のマンションの価格が上がり、そうした物件と比較される中で売れているのかと考える。

全体的に、マンションの供給は決して多くはない。価格も上がり基調であり、消費者は「今、買うしかない」という感覚なのだろう。リーマンショック以降、新築マンションの価格は上がり基調が続いており、それがマンション購入を検討している消費者の安心材料になっている。

――消費者はこの先も、価格高騰についていけますか。

消費者にアンケートをとると、「新築マンションの価格が高い」という意見は多い。(それにもかかわらず、東京建物のマンションの販売が好調なのは)実態はわからないが、低金利かつ価格の先高感があることから、今、背伸びをして買っているのではないか。

低金利や物件価格の動向だけでなく、コロナ禍をきっかけに「快適な住まいで過ごしたい」というニーズが増し、住宅への関心が高まったことも販売を押し上げる要因になっている。

消費者の許容力は上がっている

都心のマンションはそうとう高くなっているが、資産性を重んじて、駅から近く利便性の高い物件を高価格でも求める層がいる。一方で、都心から離れているものの、周辺の環境のよい郊外の物件を価格とのバランスを考慮して求める層もいる。消費者の志向は二極化してきている。

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