供給戸数が限られる新築マンションに代わり、中古マンション市場が活況だ。中古マンションを取得し、内装や設備をリノベーションして販売する「買い取り再販」に参入する事業者が相次いでいる。
「2020年ごろの中古マンションの売れ行きは絶好調だった。どんな物件でも仕入れれば、難なく売れていた」ある業界幹部はこう振り返る。
コロナ禍を経て在宅時間が長くなる中、より広く住みやすい家を求める消費者が増えている。そうした住み替え需要の追い風も受けて、市場拡大が続くのが中古マンションだ。供給戸数が限られる新築マンションに代わり、消費者の需要を吸収している。
市場拡大が続く中古マンション
不動産経済研究所によれば、首都圏での新築マンションの供給は2016年以降、年間3万戸台で推移。マンションの建設に適した土地が不足する中、2021年の供給戸数は3万3636戸と、10年前と比べて2割強も減っている。
あるマンションデベロッパーの幹部は「土地代だけでなく資材コストや建築費も高騰しており、新築マンションを開発しても利益が確保できない案件が増えてきた」と嘆息する。
新築マンションの供給が制限される中、消費者の受け皿となり、販売戸数を伸ばしているのが中古マンションだ。首都圏の中堅デベロッパー幹部は「長期的な目線で見て市場拡大が見込めるのに、やらない手はない」と話す。2021年の中古マンションの成約件数は3万7828件と、10年前と比べて3割弱増えている(東日本不動産流通機構調べ)。
こうした中、不動産会社やデベロッパーが強化しているのが「買い取り再販」と呼ばれる手法だ。単なる中古物件の仲介とは違い、事業者が自ら1戸単位ないしは1棟単位でマンションを取得し、設備や内装をリノベーションすることで付加価値を高めて販売する。
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