ミッドタウン八重洲、竣工も「入居率軟調」の背景 一部のオフィスビルは賃料下げテナント誘致も
三井不動産が手がけた大型複合施設「東京ミッドタウン八重洲」が8月に竣工した。一等地だが、足元の入居率は高くない。その背景とテナント争奪戦の実情に迫った。
大手デベロッパー・三井不動産のフラッグシップともいえる大型複合施設が、ついに姿を現した。
2022年8月、オフィスビルや商業施設が入居する複合施設「東京ミッドタウン八重洲」が竣工した。高さ約240メートルの超高層ビルで、東京駅の東側に位置する八重洲エリアにおいて、駅舎の目前に位置する場所にそびえる。
三井不動産にとっては、東京都港区赤坂の「東京ミッドタウン」、千代田区有楽町の「東京ミッドタウン日比谷」に次ぐ、「ミッドタウン」ブランドを掲げた施設となる。地下の「バスターミナル東京八重洲」や商業施設の一部店舗が9月に先行開業。2023年3月の全面オープンに向けて、店舗やテナントの入居が進んでいる。
特徴的なのが、その多機能性だ。地上45階建て・地下4階の超高層ビル「八重洲セントラルタワー」には、オフィスや商業施設だけでなくラグジュアリーホテル「ブルガリ ホテル 東京」や小学校などが入居する。
都市ガス発電設備でBCP性能を向上
東京ミッドタウン八重洲は防災の観点でも重要な機能を備える。八重洲セントラルタワーの地下にあるエネルギーセンターでは、都市ガスを使い電力と熱を生み出すコージェネレーションシステムを導入。災害が発生して停電した場合でも、燃料である都市ガスの供給があれば発電し続けられる。
東京ミッドタウン八重洲のエネルギーセンターのエネルギー供給能力は一般家庭の約7000世帯分にあたる約2.2万キロワットであり、一般的なビルと比べてCO2排出量を約26%削減できるという。
最新の大型施設で高性能な発電設備を持つ東京ミッドタウン八重洲だが、気になるオフィスフロアの入居率はどうか。三井不動産のビルディング本部で環境・エネルギー事業を推進する川東亨和統括は「BCP(事業継続計画)性能の高さが決め手となり、東京駅周辺の大型オフィスビルに入居している外資系企業の移転が決まった」と胸を張る。
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