リノベ大手のトップがマンションの「買い取り再販」の市場環境と事業を展開する難しさを語った。
ーー大手デベロッパーなどリノベーションマンションの買い取り再販事業に参入する事業者は増えています。市場はレッドオーシャン化しているのではないでしょうか。
そのとおりだ。買い取り再販事業の領域はレッドオーシャンになっている。資金さえあれば事業を始めることはできるので、参入障壁は低い。過去にも新たに買い取り再販を始める事業者がドッと押し寄せた局面はあったが、成果を上げられず撤退しているところも多い。
単に設備を改修するだけではダメ
ただ、リノベーションマンションには空間プロデュース力が求められる。単に住宅設備などを新しいものへと改修するのではなく、ワンポイント、ツーポイントの独自の付加価値をつけて、個性あるデザインの空間を作れるかが重要だ。品質を保ちつつ画一的でない住みやすい住宅を提供できなければ、消費者はついてこない。
リノベーションは忍耐が求められるビジネスだ。膨大な数の現場を管理するには相応の運用力が必要であり、これをシステム化・仕組み化するのは簡単ではない。
例えば、いざリノベーションの施工を始めたら、給排水管が想像以上に劣化していて、思わぬ費用と手間がかかることも珍しくない。物件ごとの担当者がいわば「1人デベロッパー」としてあらゆる事案に、スピード感をもって臨機応変に対応できないといけない。
そこまでしても1件ごとに得られる利益は少ない。新築マンションの開発よりもシビアに事業収支を管理しながら、とにかく数をこなさなければならない。
参入事業者が増える中、リノベーションの施工店も奪い合いになっている。継続して発注し続けないと施工店との信頼関係が作れず、やがてリノベーションの施工もままならなくなるだろう。そうして撤退せざるを得なくなった事業者も多い。
ーー消費者のリノベーションマンションに対する意識はどう変わってきたのでしょうか。
かつてはリノベーションという言葉は認知度が低かった。それが今や「マンションを買うならば、新築にするか、リノベーション物件にするか」というくらい、消費者にとってメジャーな選択肢だ。「ボロボロな中古マンション」というイメージもリノベーションの認知が広まったことで払拭されてきた。
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