防衛費の財源を「増税」で賄うのは不可能なワケ 資本主義以前の「前近代的な発想」をやめる
拡充される防衛費の財源を巡って、自由民主党内で議論が白熱している。
例えば、西田昌司参議院議員は、財源は、国債の発行でよいと主張している。
これに対して、稲田朋美衆院議員は「防衛費の抜本的強化が必要だとすれば、それをすべて国債、また安定しない財源に頼るというのは非常に私は無責任だという考えです」と述べ、増税を容認している。
西田議員と稲田議員といずれが正しいのか、検証してみよう。
大勢順応的で閉鎖的かつ反知性的な姿勢
ちなみに、西田議員は、MMT(現代貨幣理論)の影響を受けていることで知られている。確かに、MMTによれば、政府支出を増やすのに増税は必要ではないということになる。
もっとも、「MMT」と聞いただけで眉をひそめ、耳をふさぐ経済学者や政治家があとを絶たない。
MMTが、主流派経済学から異端視されているのは事実である。しかし、MMTは、クナップ、ケインズ、シュンペーター、ラーナーらの議論を原型とし、数々の批判に耐えてきた強固な理論である。
主流派でなければ聴く耳すらもたないなどという、大勢順応的、閉鎖的かつ反知性的な姿勢は、実に恥ずべきものだ。
そんな態度では、この歴史的な大転換期にある厳しい世界を生き残ることは難しいだろう。実際、30年に及ぶ日本の停滞・衰退の根本原因は、この反知性的な姿勢にあると言っても過言ではないのである(参照『奇跡の社会科学』)。
しかも、政府支出を増やすのに増税は必要ではないとする理論は、MMTだけではないのである。
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