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化石燃料の廃止・削減が気候変動問題の焦点に  「見せかけ」と見なされないためにすべきこと

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コロナ禍やウクライナ先頭が引き起こした世界的不安を解消できるのか。「2023年大予測」特集の政治・経済パートから抜粋。

COP27の会場
エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されたCOP27(写真:WWFジャパン)

特集「2023大予測|政治・経済編」の他の記事を読む

ウクライナ、気候変動、インフレ……。混迷を極める世界はどこへ向かうのか。12月19日発売の『週刊東洋経済』12月24-31日号では「2023年大予測」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。世界と日本の政治・経済から、産業・業界、スポーツ・エンタメまで108のテーマについて、今後の展開とベスト・ワーストシナリオを徹底解説する。この記事は本特集内にも収録しています。

段階的廃止・削減も検討する局面

週刊東洋経済 2022年12/24-12/31【新春合併特大号】(2023年大予測 108のテーマで混沌の時代を完全解明!)
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2022年にエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されたCOP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)では、岸田文雄首相が参加を見送るなど、日本の存在感は乏しかった。

皮肉なことに唯一目立ったのは、1800を超える世界の環境NGO(非政府組織)のネットワーク「CANインターナショナル」によって地球温暖化対策に後ろ向きの国に贈られる、不名誉な「化石賞」を受賞した場面だった。

米国のNGO「オイル・チェンジ・インターナショナル」が各国の化石燃料関連への公的支援について調査したところ、日本が世界で最も多く化石燃料関連事業に公的支援を拠出している国であることが判明したのが理由だ。国際協力銀行など公的機関による石炭や石油、天然ガス事業への投融資額は19~21年の3年間の平均で年約106億ドルに上り、世界最多だった。

COP27の合意文書に反映されなかったため日本ではほとんど報道されていないが、エネルギー安全保障への不安が世界中で高まる中でも、世界は石炭火力発電のみならず石油や天然ガスなども含む化石燃料開発・利用全体の段階的廃止・削減をも検討する局面に入っている。そのことはCOP27での議論で明らかになっている。

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