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日本銀行「ポスト黒田と異次元緩和政策」の行方 新総裁のもとで「正常化」に舵を切れるのか

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コロナ禍やウクライナ先頭が引き起こした世界的不安を解消できるのか。「2023年大予測」特集の政治・経済パートから抜粋。

会見する黒田東彦総裁
日本銀行の黒田東彦総裁。しぶしぶ受けたとされる2期目も終わる(写真:時事)

特集「2023大予測|政治・経済編」の他の記事を読む

ウクライナ、気候変動、インフレ……。混迷を極める世界はどこへ向かうのか。12月19日発売の『週刊東洋経済』12月24-31日号では「2023年大予測」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。世界と日本の政治・経済から、産業・業界、スポーツ・エンタメまで108のテーマについて、今後の展開とベスト・ワーストシナリオを徹底解説する。この記事は本特集内にも収録しています。

雨宮氏と支持を二分する中曽宏氏

週刊東洋経済 2022年12/24-12/31【新春合併特大号】(2023年大予測 108のテーマで混沌の時代を完全解明!)
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日本銀行において2023年に確実に起きることは黒田東彦総裁の2期目任期の終了だ。黒田氏が続投する可能性は制度上ありうるが、2022年11月に黒田氏はメディアから再任に関し問われた際に「個人的な希望はまったくない」と答えた。すでに異例の再任を経て歴代最長となっており、10年ぶりの総裁交代が確実視される。

次期総裁として政界や金融界で名前が最も挙がるのは現副総裁の雨宮正佳氏だ。黒田体制を支え、マイナス金利やイールドカーブ・コントロール(YCC〈長短金利操作〉)など現在の金融政策の構築にも関わったことから、スムーズな引き継ぎが期待される。また政策の急激な変化を警戒するマーケットに継続性を示すこともできる。国内の政財官界に広い人脈を持っていることも雨宮氏が最有力とされる材料となっている。

エコノミストからの支持を雨宮氏と二分するのが前日銀副総裁の中曽宏氏だ。雨宮氏と同様に日銀生え抜きかつ黒田氏の下で副総裁を務めた。1990年代の国内金融危機や2008年のリーマンショック対応などで危機管理の実績を積んできた。また2006~2013年にBIS(国際決済銀行)市場委員会の議長を務めたことなどから海外の金融界に広い人脈を持つ。

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