コロナ禍やウクライナ先頭が引き起こした世界的不安を解消できるのか。「2023年大予測」特集の政治・経済パートから抜粋。
きっかけは高層住宅で起きた火災
ゼロコロナ政策は中国経済にとって大きな足かせだった。新型コロナ感染者がわずかでも出たら地域ごと封鎖するような、厳格な感染抑制策である。それが重荷になり「実質で5.5%前後」を目指した2022年の経済成長率は3%前後で終わりそうだ。
この制約が急速に解消の方向へ向かっている。
きっかけは11月24日に新疆ウイグル自治区のウルムチの高層住宅で起きた火災だ。ゼロコロナに伴う行動制限による救助の遅れで10人が犠牲になったという情報がSNSで拡散され、北京、上海など全国の主要都市で抗議行動が同時多発的に発生したのだ。習近平国家主席の退陣を求めるスローガンを街頭で若者が叫ぶ姿は、世界に衝撃を広げた。
ウルムチの火災に先立つ11月11日に、中国政府は新型コロナ対策を緩和する方針を打ち出していた。河南省鄭州でiPhoneの主要工場が封鎖され生産に影響が出るなど、ゼロコロナがサプライチェーンに打撃を与えていることを考慮したとみられる。
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