有料会員限定

低下する保守党の求心力、英「スナク政権」の行方 物価高や景気後退…、政治不安再燃の可能性も

✎ 1〜 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 12 ✎ 最新
拡大
縮小

財政再建を目指す英スナク首相。保守党の求心力の低下や物価高など逆風が続く。景気後退が続けば、政治不安が再燃する可能性もある。

片手を上げるスナク首相
市場は新政権の方針転換を今のところ好感している(写真:Lauren Hurley/No 10 Downing Street/Eyevine/アフロ)

特集「2023大予測|政治・経済編」の他の記事を読む

ウクライナ、気候変動、インフレ……。混迷を極める世界はどこへ向かうのか。12月19日発売の『週刊東洋経済』12月24-31日号では「2023年大予測」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。世界と日本の政治・経済から、産業・業界、スポーツ・エンタメまで108のテーマについて、今後の展開とベスト・ワーストシナリオを徹底解説する。この記事は本特集内にも収録しています。

スナク首相が目指す財政再建

週刊東洋経済 2022年12/24-12/31【新春合併特大号】(2023年大予測 108のテーマで混沌の時代を完全解明!)
『週刊東洋経済 2022年12/24-12/31【新春合併特大号】(2023年大予測 108のテーマで混沌の時代を完全解明!)』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

財政規律を軽視したトラス前政権の大型減税が金融市場の動揺を招いた英国では、後を継いだスナク政権が財政再建に舵を切った。前政権が掲げた大型減税の大半を撤回し、増税や歳出削減を通じて、2027〜28年度までに財政赤字を年550億ポンド削減する。増税メニューとしては、法人税率を引き上げるほか、高所得者や高収益企業への課税を強化する。

歳出削減の多くは25年までに実施予定の総選挙後に先送りし、当面は生活費高騰に苦しむ家計への財政支援を拡充する方針だ。高騰が続くエネルギー料金に上限を設定し、調達価格との差額を財政で穴埋めすることなどを含む。

一方で、目先の景気見通しは厳しい。回復基調にあった英国経済は、22年7〜9月期にマイナス成長に転落した。その先は、物価高による家計購買力の目減りや企業収益の圧迫、インフレ抑制を狙うイングランド銀行による金融引き締め、緊縮的な財政運営が景気悪化に拍車をかけそうだ。

次ページ政界引退を表明する保守党議員も
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
2023大予測|政治・経済編
重要イベントの予定から23年の動きを把握
世界の政治・経済の動きが一目でわかる
停戦へ両国歩み寄れず核兵器使用の可能性も
米中とも本音は現状維持の姿勢を続けたい
強権振るうも、国民からの支持は高い
米朝関係の改善はまったく望めず新たな火種に
目指すは地域秩序「極東1905年体制」の維持
バイデン政権への報復はどこまで広がるのか
広島サミットで新興国の声に耳を傾けられるか
欧州だけでなくアジアにも大きな影響が発生
物価高や景気後退…、政治不安再燃の可能性も
「見せかけ」と見なされないためにすべきこと
感染再拡大で制限強化逆戻りがワーストシナリオ
中国、ロシアなど各国と絶妙なバランス保つ
新総裁のもとで「正常化」に舵を切れるのか
GDP成長率、民間設備投資、失業率なども大予測
中国のゼロコロナ緩和で物流寸断も解消へ
コロナ対策で国債増発、将来不安が増す危険も
FOMC開催から雇用統計発表日まで事前に把握
政府は明確なビジョンを示さなければならない
ここ数年では中東欧にも抜かれ「貧しい国」に
右派勢力と野党共闘の衰退で激変する政界地図
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内