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低下する保守党の求心力、英「スナク政権」の行方 物価高や景気後退…、政治不安再燃の可能性も

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財政再建を目指す英スナク首相。保守党の求心力の低下や物価高など逆風が続く。景気後退が続けば、政治不安が再燃する可能性もある。

片手を上げるスナク首相
市場は新政権の方針転換を今のところ好感している(写真:Lauren Hurley/No 10 Downing Street/Eyevine/アフロ)

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スナク首相が目指す財政再建

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財政規律を軽視したトラス前政権の大型減税が金融市場の動揺を招いた英国では、後を継いだスナク政権が財政再建に舵を切った。前政権が掲げた大型減税の大半を撤回し、増税や歳出削減を通じて、2027〜28年度までに財政赤字を年550億ポンド削減する。増税メニューとしては、法人税率を引き上げるほか、高所得者や高収益企業への課税を強化する。

歳出削減の多くは25年までに実施予定の総選挙後に先送りし、当面は生活費高騰に苦しむ家計への財政支援を拡充する方針だ。高騰が続くエネルギー料金に上限を設定し、調達価格との差額を財政で穴埋めすることなどを含む。

一方で、目先の景気見通しは厳しい。回復基調にあった英国経済は、22年7〜9月期にマイナス成長に転落した。その先は、物価高による家計購買力の目減りや企業収益の圧迫、インフレ抑制を狙うイングランド銀行による金融引き締め、緊縮的な財政運営が景気悪化に拍車をかけそうだ。

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