ここでいう「自己認識力」とは、自分の感情、長所、短所、欲求、衝動などを深く理解する能力のことです。自己認識力が高い人は必要以上に深刻になることもなければ、楽観的になりすぎることもありません。自分にも他者にも正直に振る舞い、率直に間違いを認め、笑顔で失敗談を披露できます。
ときには、自分のことを建設的に批判してほしいと申し入れることもあります。自分の能力を把握しているので、期限を守れないこともほとんどありません。厳しいときには人に助けを求めることもでき、自分が冒すべきリスクも計算できます。自己を認識できるからこそ、自己管理ができるのです。
また、自己認識には「内面的自己認識」と「外面的自己認識」があります。前者は「自分の価値観や情熱、感情、長所や短所、他者への影響力などに関する認識」であり、後者は「他者が自分をどのように見ているかに関する認識」です。この2つの自己認識は混同しやすいのですが、似て非なるものです。
指摘や批判にはどう向きあう?
つまり自己認識力を身につけるには、内面と外面の双方を高める意識が必要です。具体的には、「愛ある批評家─Loving critic(その人のためを思って真実を伝えてくれる他者)」からの率直な意見を求めることです。
「愛ある批判家」は、自分自身の立場や人間関係が犠牲になることをかえりみず、あなたのことを思って真実を伝えてくれる、かけがえのない、ありがたい存在です。その人の声に耳を傾けて、自分の心と対話し、学びを取り入れる習慣をつけましょう。
1つ注意したいのは、「なぜ自分はこうなのか」という内省はマイナス思考に陥りやすく、むしろ自己認識を下げ、仕事への満足度や幸福感も下げてしまうことです。他者とのコミュニケーションと同様に、WHYではなくWHATで「何が自分をそうさせるのか」と問いかけることが大切です。
「そんなことして、なにになるの?」「失敗したら、責任とれるの?」「もっとこうしたほうがいいんじゃない?」
組織をもっとよくするために、自分からできることを見つけ、行動に移したあなたに対して、きっとさまざまな言葉が投げかけられるでしょう。
変化することを恐れて否定してくる人。リスクを恐れて責任を追及してくる人。権威や地位を守るために抑圧してくる人。組織にはいろんな人がいて、新しいことをはじめようとしたとき、批判や否定が湧き起こるのは当然のことです。
でもなかには、あなたの成功を願って、親身なアドバイスをくれている人もいるはずです。否定や指摘といった「言葉」だけに注目して落ち込むのではなく、「なぜ、そう言ったのか」に意識を向けましょう。上司、同僚、部下。身近な人のなかから、率直な意見をくれる、「愛ある批評家」を見つけて、その声に耳を傾けてみましょう。
Question2:そのなかで、あなたのためを思って、言いにくいことをあえて言ってくれている人は誰ですか?
Question3:その人の言葉から、何が学べますか?
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