「100歳まで生きる」のに必要なたった1つの考え方 加齢で体が衰えるのを運命として受け入れる

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なぜ多剤服用が起きるかというと、たとえば複数の病院で診察を受けていると、二重処方(ほぼ同じ薬効の薬を別の医療機関で処方される)が起きる場合があるからです。

多剤服用や二重処方を回避するために、医療関係者は「お薬手帳」などで細心の注意を払っています。しかし自分の体を守れるのは、最終的には自分しかいません。

自分はどんな症状がありどんな治療を受けているのか、そのためにどんな薬を飲んでいるのか、医師に確認しましょう。別の科を受診した際には、現在の受診状況や飲んでいる薬の種類を伝え、減薬できないか確認する積極的な姿勢も必要です。

もちろん、薬を減らさないほうがいい場合もあります。しかし、健康のための薬が体を害してしまうのは本末転倒です。薬を飲みすぎていないか確認しましょう。

「オプティマルエイジング」の考え方

最後に、私が老年医療に携わるうえで、大切なキーワードにしている「オプティマルエイジング」について紹介します。

アンチエイジングを日本語に訳すと「抗加齢」となります。人が年齢を重ねていくことは当然なので、それに抗うというありえない意味になってしまいます。

一方で、「オプティマル」とは、「最適な」「最善の」と訳せるので、オプティマルエイジングとは「自分にとって最適な歳のとり方」と捉えることができます。

これまでの医学は、「病気ならば治療をする」「病気でなければ治療をしない」という二択で成り立っており、それが大前提でした。

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しかし、オプティマルエイジングには、「病気であっても、無理に治そうとしなくてもいい、その人なりに満足して人生を送っていければよいのではないか」という考えがあります。

病気になったとき、検査数値を正常に戻そうと、無理矢理につらい習慣を自分に課しても継続できません。健康習慣そのものがストレスになってしまったら、余計に具合が悪くなることも考えられます。

人が、加齢とともに体が衰えることは避けようのない運命です。そのことを受け入れたうえで、無理に抗ったりせず、少しでも長い間元気に楽しく過ごせるようにするのが「オプティマルエイジング」の考え方なのです。

たとえ病気になったとしても、コツコツと健康習慣を積み重ねていけば、「100歳まで生きる」ことはできる。そんなふうに気楽な気持ちで、限りある貴重な人生を、楽しみながら過ごしてほしいと願っています。

伊賀瀬 道也 愛媛大学大学院 抗加齢医学(新田ゼラチン)講座教授、愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長

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いがせ みちや / Michiya Igase

1964年愛媛県生まれ。1991年、愛媛大学医学部卒業後に第二内科(循環器)に入局。その後、公立学校共済組合近畿中央病院循環器内科(研修医)、米国Wake Forest大学・高血圧血管病センター(リサーチフェロー)、愛媛大学大学院老年神経総合診療内科特任教授などを経て2019年4月より現職。2006年に国立大学では当時珍しかったアンチエイジングを研究する抗加齢センター(現・抗加齢・予防医療センター)を開設後、約4000人の患者さんに指導を続けており、抗加齢医学研究のトップランナーとして知られる。

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