認知症の予防に「補聴器が役立つ」医学的な理由 補聴器を嫌がる人は多いが認知症予防になる
耳が聞こえにくいことは認知症リスクを高める
もし、少しでも「耳が聞こえにくい」と感じているならば、補聴器の使用を検討してください。それだけで、QOL(生活の質)は確実に上がり、間違いなく健康長寿に寄与します。
イギリスでの調査によると、聴力に何らかの問題を抱える人は、およそ6人に1人います。2015年の日本でのアンケート調査では、難聴だと感じている人は、18歳以上で13%に達していました。
なぜ、難聴が健康長寿を阻害するのかというと、耳が聞こえにくいことは認知症のリスクを高めるからです。イギリスの医学専門誌『Lancet』によると、仮に難聴になる人が完全にいなかったとしたら、認知症になる人は今より9%も減ると試算していました。
同じくイギリスで行われた調査では、50歳以上で中等度の難聴(普通の大きさの会話での聞き間違いや、聞きとりにくさを感じる)がある人の認知症発症リスクは、1.6倍であると発表されました。
どうして難聴は認知症の原因になるのか、2つの理由が示唆されています。
1つ目は、難聴は社会的孤立につながるからです。相手の声が聞き取りづらいと、会話が難しくなり、他人と接するのが億劫になります。私の外来でも、認知症の患者さんの診察時、会話の聞き取りができない人が少なくありません。
社会的に孤立して自分の殻に閉じこもると、外界からの刺激がなくなり、また精神的なストレスを抱えて、認知症になりやすいという指摘があります。
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