認知症の予防に「補聴器が役立つ」医学的な理由 補聴器を嫌がる人は多いが認知症予防になる

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呼吸筋の衰えは、声が出しづらくなるだけでなく、日々の呼吸を浅くする原因にもなります。肺そのものはふくらんだり、しぼんだりしておらず、呼吸筋の力で膨張・収縮しているのです。つまり、呼吸筋が衰えると、十分な酸素を取り込むことができなくなり、全身の老化を進行させることにつながります。

呼吸筋を鍛えるには、有酸素運動が有効です。ウォーキングやサイクリングを習慣にすれば、自然と呼吸筋は鍛えられます。また、深呼吸もトレーニングになります。深呼吸の効能については、このあと詳しくお伝えしましょう。

最もお手軽なトレーニングは、カラオケや会話などで「声を出す」機会を増やすことです。声を出さないと、声帯や呼吸筋は日に日に老化していきます。独り言でも一人カラオケでもいいので、積極的に声を出すようにしましょう。

吐く時間を長くすると、脈拍や血圧が安定する

イライラしたり、怒ったり、緊張したりすることは、寿命を縮める原因になります。なぜなら、そんなとき人間は、自律神経における交感神経の働きが過剰に活発になっているからです。交感神経の働きが活発になりすぎると、心拍数や血圧が上がり、血管にも大きな負荷がかかるのです。

実は感情は、呼吸である程度コントロールすることが可能です。ネガティブな感情にとらわれそうになったときは、深呼吸をしてみてください。深呼吸によって、体をリラックスモードにする副交感神経の働きを強めることができます。

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深呼吸のコツは、息を「吐く時間を長くする」ことです。1、2、3、4と鼻から息を吸ったら、5、6、7、8、9、10 と口から息を吐きます。このとき、合計10カウントで、吸う息と吐く息の比率は2対3になります。

このように、息を吐く時間を少し長くするのがポイントです。その際、吸うときはお腹がふくらんで、吐くときにはお腹が平らになっていく「腹式呼吸」を意識すると、より効果的です。

吸う時間よりも吐く時間を長くして、呼吸をゆっくりにしていくと、副交感神経が活性化し、心拍数や血圧の上昇を防ぐことができます。昔から「深呼吸をすると心が落ち着く」といわれますが、これは医学的にも証明されているのです。

深呼吸は、たんにネガティブな心が穏やかになるだけではありません。呼吸筋のトレーニングにもなるので一石二鳥です。呼吸筋は体幹を支えるインナーマッスルでもあるので、姿勢や腰痛などの改善にも役立つでしょう。

伊賀瀬 道也 愛媛大学大学院 抗加齢医学(新田ゼラチン)講座教授、愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長

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いがせ みちや / Michiya Igase

1964年愛媛県生まれ。1991年、愛媛大学医学部卒業後に第二内科(循環器)に入局。その後、公立学校共済組合近畿中央病院循環器内科(研修医)、米国Wake Forest大学・高血圧血管病センター(リサーチフェロー)、愛媛大学大学院老年神経総合診療内科特任教授などを経て2019年4月より現職。2006年に国立大学では当時珍しかったアンチエイジングを研究する抗加齢センター(現・抗加齢・予防医療センター)を開設後、約4000人の患者さんに指導を続けており、抗加齢医学研究のトップランナーとして知られる。

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