認知症の予防に「補聴器が役立つ」医学的な理由 補聴器を嫌がる人は多いが認知症予防になる

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2つ目は、難聴は認知的負荷(脳への負荷)が大きくなるからです。私たちは会話の一部が聞こえなくても、脳の仕組みにより、自動的に可能性の高い言葉を補って理解しています。たとえば、「こ○ばんは」としか聞こえなくても、「ん」という言葉を脳が補うことで言葉を理解しているわけです。

(イラスト:『100歳まで生きるための習慣100選』より)

しかし、難聴がある場合は、たとえば「こ○○○は」としか聞き取れないと、脳は聞こえる人よりも大きなエネルギーを使わなければ言葉を理解できません。聞き取ろうとするたびに、脳に負担とストレスがかかり、他の重要な働きをする余裕がなくなっていき、結果として全体的な認知機能が衰えてしまう……、と考えられるのです。

次のような難聴のサインを自覚している人、あるいは家族からの指摘がある人は、一度耳鼻咽喉科を受診されることをオススメします。

・人の声がよく聞こえない、よく聞き間違える
・会話中、何と言ったか聞き直すことが増えた
・テレビのボリュームを大きくしてしまう
・電話の音、玄関のチャイムなどになかなか気づかない
・雑音がどこから聞こえてくるのかわからない
・聞くことに集中するのが異常に疲れ、ストレスに感じる
・自分の声が大きいとよく言われる

該当する人は、補聴器の使用について医師に相談してみるべきです。補聴器を嫌がる人は多いのですが、認知症予防になることは間違いありません。

それを実証した大規模な研究もあります。2016年に、アメリカの老年医学雑誌に掲載された研究によると、補聴器を使用した難聴の人のグループは、使用しない難聴の人のグループと比べて、認知症や認知機能が低下するリスクが減少することが明らかになっています。

現在は補聴器の性能も向上し、デザイン性の優れたものが増えています。周囲と円滑にコミュニケーションをとり、脳の老化を予防するために、ぜひ積極的に補聴器を利用してほしいです。

カラオケやおしゃべりは、老化をゆっくりにする

加齢とともに、昔よりも声が出しづらい、声のハリがなくなったと感じることがないでしょうか。これは、声帯と呼吸筋が衰えてくるからです。

声を出すとき、私たちは無意識のうちに声帯を振動させています。しかし、加齢とともに声帯は萎縮していくため、振動が声帯にうまく伝わらず、声量が低下したり、ハリがなくなったりしてしまうのです。

また、声を出すには、息を吸い込んで吐き出す必要があります。これを担っているのが、みぞおちにある横隔膜や、ろっ骨の間にある肋間筋などの「呼吸筋」です。

呼吸筋もその他の筋肉と同様に、歳をとるとしだいに衰えていきます。しかし他の筋肉と同様に、今からでも鍛えれば老化のスピードを遅らせることも可能です。

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